幸運を呼ぶといわれる、白ヘビからパワーをもらって大一番を制した。元大関の関脇霧島(29=音羽山)が、取組前まで2敗の横綱豊昇龍を上手投げで撃破。3日目から10連勝と勢いが止まらない。この日の朝稽古で、自身の足に絡みついてきたことで白ヘビの抜け殻を発見。吉兆ととらえて大喜びした。大事に保管した直後に難敵を破り、単独トップを守る11勝1敗とした。起点が平幕の東前頭2枚目とはいえ、直近3場所で大関昇進目安の33勝に到達。大関返り咲きと3度目の賜杯が現実味を増した。
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この日1番の大歓声を浴び、霧島は大きくうなずいた。立ち合いすぐに左上手を引くと、それが命綱だと分かっていた。激しい攻防でも上手を離さずに、最後は豪快に上手投げで仕留めた。優勝争いの最大のライバル、豊昇龍との大一番を制して2差に広げた。「最後まであきらめずにやれてよかった。2人とも大事な取組。(気持ちで)負けないようにいった」。1差で追うのは西前頭5枚目の琴勝峰1人。残り3日で極めて有利な状況となった。
最後は豊昇龍の下手投げとの、投げの打ち合いになった。相手が得意とする右からの投げ。それでも一瞬早く、形をつくったのは霧島だった。互いに優勝2度の実力者で紙一重の差。もはや運ともいえる少しの差をもたらす吉兆が、実はこの日の朝稽古後にあった。
「何だこれ?」。稽古を終え、上がり座敷に腰掛けていた霧島の足の裏に、何かがついていた。拾い上げると、脱皮した白ヘビの抜け殻だった。ヘビは脱皮することから復活と再生の象徴とされる。大関から陥落して2年。相次ぐけがなどで、優勝は23年九州場所を最後に遠ざかっていた。そこから先々場所、先場所とともに11勝。起点は平幕だが、3場所33勝という大関昇進目安を、この日の白星でクリア。優勝なら大関再昇進の声が出てきそうだ。
さらに白ヘビは幸運、特に金運が上がるといわれ、それを知った霧島は「こんなうれしいことはない!」と大喜びした。大事にティッシュに包み、巾着袋にしまうと宣言。会場には持ち込まなかったが、この日、懸賞40本を手にした。効果はてきめんを報道陣に指摘されると満面の笑み。運も味方につけ、霧島の勢いが加速する。【高田文太】

