元十両で西序二段3枚目の千代栄(35=九重)が、現役最後の一番を終えた。東序二段12枚目の出羽ノ城(32=出羽海)を押し出し、5勝2敗とした。「十両から陥落しても、くさらずに泥だらけでもやりきろうと思ってやってきました。最後までやり切れたのが一番でかいですね」と話した。
京都共栄学園高から元横綱千代の富士の九重部屋に入門し、2009年初場所。13年半かけて新十両昇進を果たした。31歳11カ月での新十両は戦後4位の高齢記録だった。最高位は西十両8枚目。力の限界を感じ、引退を決断した。
思い出の一番は、2022年夏場所千秋楽の十両貴健斗戦。東幕下3枚目で5勝目を挙げ、新十両昇進を決めた。土俵際で突き落としを決めた展開に「自分の力だけでは押し出されていました。後ろで誰かが押してくれているような、いろんな思いが支えてくれたんじゃないかと思えるような感じでした。あれは忘れられません」。
入門して3年たった三段目のころ、先代師匠(元横綱千代の富士)に稽古場でかけられた言葉が今も胸に残る。兄弟子にぶつかり稽古でかわいがられ、ふてくされていた時だった。「こっちこい」と呼ばれ、「そんな稽古をしていたら、親が泣くぞ」と言われた。「汗と涙があふれました。それから、稽古にちゃんと向き合うようになりました。それがなければ、なあなあでやっていたかもしれません」。
千秋楽パーティーで断髪し、その後は第2の人生に踏み出す予定。「仕事に携わらせていただく上で、人と人とのつながりを大事にしていきたいです」と話していた。

