[ 2014年7月3日8時52分

 紙面から ]ベスト8進出を決め、両手を天に突き上げるベルギーのルカク(撮影・PNP)<W杯:ベルギー2-1米国>◇決勝トーナメント1回戦◇1日◇サルバドル

 ベルギーが86年メキシコ大会ベスト4以来となる、28年ぶりの8強に進出した。21歳の「怪物」FWロメル・ルカク(エバートン)が最愛の母親アドルフィンさんのために奮闘した。延長前半から出場。1点リードの15分にデブルイネのスルーパスに抜け出し、左足で直接シュートを決めた。

 祝福のために寄ってくるチームメートを手で制し、そのまま右コーナー付近のテレビカメラへ一直線。カメラを両手で押さえつけると、ブチューッとレンズにキス。そして「ジュテーム、ママン(愛してるママ)」と、フランス語のメッセージを送った。

 ルカクはかつて地元メディアに「僕が行うすべてのことはママのため。彼女を失望させるのが一番怖いんだ。だからママが好きにならない女の子と付き合うことはできないよ」と話すほどのマザコン。不調から抜け出す会心の一撃も、当然のごとく母親にささげた。

 そのマザコンぶりとは対照的に、プレーは凶暴そのものだ。大柄な191センチ、94キロの強靱(きょうじん)な体で重戦車のようにDFをなぎ倒していく。今季チェルシーから期限付き移籍したエバートンでは、15ゴールをマーク。W杯でも同様の働きが期待された。だが1次リーグで無得点。1、2戦ともに途中交代させられ、3戦目の韓国戦は出番がなかった。

 それでもルカクは「気負いはなかった」と、持ち味の当たりの強さを発揮。延長前半3分には右サイドで相手DFに競り勝ってゴール前まで進入し、デブルイネの先制点につなげた。復活した怪物は今後も大好きなママのためにゴールを決め続ける。