盲目の老人が住む屋敷に忍び込み、大金を盗みだそうとした若者たちが、恐るべき身体能力を持ったこの老人から反撃をくらい、暗闇の中でとんでもない恐怖を味わう。

5年前に公開された「ドント・ブリーズ」は、ひと味もふた味も違うホラー映画だった。13日公開の「-2」は一転して、恐怖の対象だったこの老人の視点から描かれる。悪のキャラ転じて、正義のヒーローとなった「ターミネーター2」のような展開である。69歳になったスティーヴン・ラングが衰えない筋肉質の体で今回もしたたかな老人を好演している。元SEALDs(シールズ)の軍人だったという彼の戦闘能力で、ホラーというよりは「座頭市」のような活劇に仕上がっている。

前作の「事件」から8年。人気の無い郊外の古びた屋敷で、老人は1人の少女を大切に育てている。

そこに謎の武装集団が襲いかかる。彼らの目的はその少女だった。老人は迷路のような屋敷の地の利を生かして抗戦。護身術を身に付けた少女も簡単には捕まらない。が、集団にも戦闘経験があり、多勢に無勢で少女は連れ去られ、生命線だった「とりで」の屋敷も焼かれてしまう。が、九死に一生を得た老人の信じられないような反撃が始まって…。

前作が1時間28分、今作が1時間38分。ウルグアイ出身のフェデ・アルバレス(脚本・製作)ロド・サヤゲス(脚本・監督)のコンビが練り上げたストーリーは密度が濃い。

序盤の屋敷内の抗戦シーンは少女によりそうようなカメラワークが印象的で、まるでその場にいるような感覚でぐいぐい引き込まれる。暗闇に差し込む光を反射する水、かすかに跳ねる音…老人の研ぎ澄まされた感覚が見事な照明と音響で伝わってくる。

主人公と犬の関係が1つのカギになっており、アルバレス=サヤゲスコンビはかなりの愛犬家なのだと思った。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)