4年前に公開された「翔んで埼玉」は大ヒットの上に、日本アカデミー賞では12冠に輝いた。
「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」などというセリフを笑って受け止める県民意識-これほどドメスティックな作品はないだろうと思っていたが、イタリアの映画祭で高評価されるなど、海外でのウケも良かった。「屈折した愛郷心」は万国共通で心に忍ばせているものらしい。
23日公開の第2弾「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」は、舞台を関西に広げて再び「壮大な茶番劇」が繰り広げられる。
埼玉解放戦線によって東京への通行手形制度が撤廃され、関東一円に平和がもたらされた前作から3カ月。武蔵野線がないという設定の埼玉は、横のつながりがなく小競り合いが絶えない。そこで、解放戦線のリーダー麻実麗(GACKT)は求心力の源として「埼玉に海を作る」ことを決意。パートナーの壇ノ浦百美(二階堂ふみ)を埼玉に残し、白い砂を求めて一路和歌山県白浜へーというわけで、物語はぶっ翔びながら転がっていく。
「秘密のケンミンSHOW」(日本テレビ系)でもおなじみのように関西は大阪、京都、神戸(兵庫)の3強とその他の2層構造になっている。航行中の大しけで白浜に漂着した麗が出会ったのは、虐げられた滋賀解放戦線リーダーの桔梗魁(杏)。共闘した2人は、3強の圧政に立ち上がり、やがては「粉もの」を武器に全国制覇を狙う大阪府知事、嘉祥寺晃(片岡愛之助)の陰謀を暴いていくのだが…。
劇中には「チャーリーとチョコレート工場」やバリ島のケチャをていねいに模したシーンが登場する。ストーリー展開とはほとんど関係ないのだが、そんなシーンにこそコストをかける武内英樹監督の前作同様の遊び心が作品を大きく見せている。
出演者がそれぞれの出身地キャラを演じ、合戦シーンでは出身著名人の顔写真比べが展開される。前作同様のツボをしっかり押さえながら、藤原紀香が愛之助の妻役で出演したりと、私生活を絡めて線引きのない笑いを広げている。関西にはまだまだ知らないディスりポイントもあって興味深かった。
大技小技が隙間無くちりばめられた1時間56分。とんがった個性だらけの作品に爽快感を覚えるのは、日ごろ同調圧力を感じている証かも知れない。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




