16年12月の上演以来、社会現象となる大ヒットを記録し、米演劇界で最も栄誉とされるトニー賞6部門などに輝いたブロードウェー・ミュージカルの映画化。SNSを通じて人と人が「つながる」ことを題材に、社交不安症の高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)の「孤独」を描く。

学校ではいつも、ひとりぼっちのエヴァン。自ら命を絶った「友人」のために善意でついたうそがきっかけとなり、「架空の物語」は人々の感動を呼び、SNSを通じ全世界へ拡散する。一躍、時の人になり、孤独だった人生は大きく変わっていく。

SNSはいつでもつながることができるから、つながっていないと強い孤立感を感じる人も多い。エヴァンの動画がシェアされ、猛烈な勢いでコミュニティーができるシーンは孤独感がイッキに吹き飛ぶようで、鳥肌が立った。

「ラ・ラ・ランド」(16年)の音楽チームが楽曲を提供する。劇中に登場するほぼ全員が突然、歌い出すミュージカル展開には一瞬驚いたが、違和感はない。エヴァンが、ときにおえつしながら歌い、高音からシャウトまで深みのある歌声に心が揺さぶられた。【松浦隆司】

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