だまし、だまされ、だまし合う。「半沢直樹」シリーズなど数々のベストセラーを誇る直木賞作家、池井戸潤氏の小説が原作。東京第一銀行の小さな支店で起きた現金紛失騒ぎに端を発し、メガバンクの巨大な不祥事が暴かれる。「半沢直樹」の主人公が悪役をぶったぎる痛快ストーリーではないが、先を読ませない巧妙な展開に引き込まれた。

部下からの信頼が厚いベテランお客さま係の西木(阿部サダヲ)は、紛失の疑いをかけられた部下の北川(上戸彩)、その後輩の田端(玉森裕太)らとともに事件の裏側を探っていく。

ひょうひょうとしながらも1本筋が通った銀行マンを演じる阿部のクルクル変わる表情に翻弄(ほんろう)される。大ピンチでの上戸彩の明るさ、玉森の安定した存在感も光る。出世コースをはずれた支店長(柳葉敏郎)、パワハラ副支店長(杉本哲太)、銀行では「鬼より怖い」と嫌われる検査部員(佐々木蔵之介)ら芝居巧者の演技合戦にもゾクゾクした。

「シャイロック」とはシェークスピアの「ヴェニスの商人」に登場する強欲な金貸し。大金を巡る壮絶なだまし合い。見終わった後、タイトルに納得した。【松浦隆司】

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