壮大な野外劇で知られる劇団「維新派」の主宰で劇作家の松本雄吉(まつもと・ゆうきち)さんが18日午前3時25分、食道がんのため大阪市の病院で死去していたことが19日、分かった。69歳。熊本県出身。葬儀・告別式は劇団の有志で営んだ。後日、大阪市内でしのぶ会を開く予定。

 1970年に大阪で劇団を旗揚げ。屋外の特設舞台で実験的作品を上演し、注目された。白塗りの役者たちによる関西弁を生かした「ヂャンヂャン☆オペラ」という独特の様式を確立した。せりふを単語に解体し、一定のリズムに乗せて連ねる手法が特色。都市や移民、漂流をテーマにした野外劇が高く評価された。

 大阪南港などの都市部の空き地や、琵琶湖畔、瀬戸内海の犬島(岡山市)など、国内外の多様な場で公演を続けた。舞台「呼吸機械〈彼〉と旅をする20世紀三部作#2」で2008年度の芸術選奨文部科学大臣賞。11年に紫綬褒章を受けた。