フリーアナウンサー高嶋秀武(75)が「高嶋ひでたけの読むラジオ」(小学館、1000円+税)を出版した。

 1965年(昭40)にニッポン放送に入社してから52年。今も現役でマイクの前に座る。現在は「高嶋ひでたけのあさラジ!」(月~金曜午前6時)のパーソナリティーを務め、平日は午前3時起きの毎日だ。

 日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超える一方で、年金支給開始年齢が75歳になるという話題が持ち上がっている。好きな仕事を半世紀以上も続けられる高嶋アナは、うらやましい限りだ。何よりもすごいのは90年に48歳で退社したニッポン放送で、今でも帯レギュラーを持っていることだ。ニッポン放送は、その後、ライブドアの買収騒動に巻き込まれ、聴取率1位の座も長らくTBSラジオに奪われたまま。そんな中でも、高嶋アナは変わらずにニッポン放送から軽快な声を送り続けている。

 大相撲中継で有名だったNHKの志村正順アナウンサーに憧れてアナウンサーになった高嶋さんは、入社して8年間は、スポーツアナとしてナイター中継を担当した。その間に、自ら志願してオフは深夜放送「オールナイトニッポン」のDJを務めた。75年には、ラジオ界の伝説的なプロデューサー、ドン・上野氏と組んで、平日午後9時からのワイド番組「大入りダイヤルまだ宵の口」のパーソナリティーを担当。「欽ドン」などの番組をフリートークでつなぎ、裏番組の文化放送「みのもんたのワイドNo.1」としのぎを削った。

 本書の中では、失敗談も山盛りだ。イベントで椅子に腰掛け譜面代を置いてギターを弾いて歌う無名時代の吉田拓郎に「歌うときはマイクロホンの前にちゃんと立って、歌詞を覚えて歌わないとおかしいんじゃないか」と意見。俳優黒沢年雄のインタビューなのに千葉真一と間違えて話し掛けてしまった人違い、ニュース原稿の順番がメチャクチャになって「このニュースは後ほどお伝えする事にして、続いて天気予報です」と切り抜けた話などが書かれている。

 高嶋アナが本拠とするニッポン放送も52年間の間に、AM1240からAM1242、そして15年12月からFM93・0でも視聴できるようになった。世の中が変わっても、高嶋秀武アナのおしゃべりは変わらない。いや、日々、変わり続けている。そんな思いをさせてくれる本だ。

▼「高嶋ひでたけの読むラジオ」(小学館)を3名にプレゼントします。はがきに住所、氏名、電話番号、思い出のラジオ番組や、それにまつわるエピソードを書いて、〒104-8055、日刊スポーツ新聞社文化社会部「読むラジオ」係まで応募のこと。