人気時代劇シリーズ6年ぶりの復活となるBS-TBS「水戸黄門」(10月4日スタート)に主演する武田鉄矢(68)が2日、東映京都撮影所で会見した。黄門さまの扮装(ふんそう)で取材陣の前に姿を見せると「ガキの頃から見てるからさ、印籠が出ると、みえ切っちゃうんだよね。初々しくやってほしいってことなので『それはダメ』と言われちゃった」と話した。

 収録開始から約1カ月がたち、第4話の収録に入っている。武田はドラマでも俳優として「3年B組金八先生」「101回目のプロポーズ」という代表作がある。ともに「過剰に大げさに劇場型で」演じてきたが、今回はそうした持ち味や得意技を封印。「薄くてもコクがある。京風でいきたい」と、武田流黄門さま像に挑戦する。また「いたわりを強要したり、老いのずるさもあって完璧なご老公じゃない。助さんも『この、くそじじい』と言うしね」と明かすように、若者と高齢者の小競り合いも描く「現代風の水戸黄門」といった側面もあるようだ。

 同シリーズは多くの名優が黄門さまを演じてきた。6代目となる武田は、初代の東野英治郎さんに若き日に親しみ、2代目の西村晃さんには仕事でインタビューしたこともある。それぞれに印象がある中で「物議を醸した方、石坂浩二さんに一番影響されている」という。石坂は直腸がん治療との理由で、わずか約2年で降板したが、他にも理由があったと当時伝えられた。武田にとって初の時代劇出演は、石坂が主演した79年NHK大河ドラマ「草燃える」だった。「セリフ回しが分からなくて(石坂の)まねをしていた」。それだけに「今でも時代劇は石坂浩二風のしゃべり方になる」という。

 印籠を出して悪人がひれ伏すおなじみのクライマックスは不変だが「印籠が(制作費や価値が)数百万すると聞いて震えた。エキストラの人も(初代から)やってるから、スタッフさんも含めて僕らだけが新人。まだまだこれから」と笑った。【村上久美子】