開催中のベネチア映画祭で、5日(日本時間6日未明)、コンペティション部門に出品されている映画「三度目の殺人」(是枝裕和監督、9日公開)の公式上映が行われた。

 福山雅治(48)が弁護士を演じる法廷サスペンス。ある事件の犯人を演じた役所広司(61)、被害者の娘を演じた広瀬すず(19)、是枝監督とともに、ベネチアを訪れている。

 公式上映では、エンドロールが始まった直後からスタンディングオベーションが起こった。4人は立ち上がり、笑顔で、満席約1000人の声援に応えた。関係者らと握手を交わしながら、上映の成功を喜んだ。

 上映後は取材に応じた。福山は「予想よりも早い段階で拍手が起こって、いい届き方をしたんだな、と思った」と安堵(あんど)の表情をみせた。さらに「監督が隣だったけど、僕の膝に手を置いてくださった。ほっとしたのかな、と思って、僕もうれしかったです」と、是枝監督のチャーミングな一面を語った。

 是枝監督はこれまで「誰も知らない」「そして父になる」「海街diary」など、家族がテーマの作品を多数生み出してきた。初のサスペンス挑戦となったが、「日本で思われている以上に僕は、海外では“家族”の作家」(是枝監督)といううだけあり、海外での反応は気になっていたようだ。「チャレンジしている映画なので、ホームドラマ以上に、どう届くか心配してみていました。今、解き放たれてホッとしています」と胸をなでおろし、「簡単に届く映画ではない。自分でもよくチャレンジしたと思う。頑張ったな~という感じです」と胸を張った。

 役所は「大きなアクションもなく静かな映画だけど、お客さんの背中を(2階席から)見ると、集中して映画を見てくださっている感じが伝わりました。監督には見終わった後、『いい映画ですね、誰の映画ですか?』と聞きました」と、冗談で場を和ませる余裕をみせた。カンヌに続いて是枝監督と2度目の3大映画祭参加となった広瀬は「上映中は言葉にできないくらい緊張感がありました。一緒に参加することができて、心からうれしく思います」と喜びを語った。