5月26日、西城秀樹さんの告別式を取材した。「ご三家」を知らない24歳の記者は、正直、訃報を受けるまで「YMCAの人」程度の知識しかなかった。
そんな記者だが、告別式では感動の涙が止まらなかった。
出棺時、主催者の「秀樹さんはアンコールを待っていると思います」との声掛けで、ファンから「ヒデキ!」コールが起こった。集まった参列者は約1万人。「ここはライブ会場か?」と思うくらい、かなりの迫力だった。
アンコールを受けて流れた楽曲は、「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」のライブ音源だった。ファンの歓声や、ファンをあおる秀樹さんの声も、そのまま入っていた。
そして会場は、1万人の「YMCA」に包まれたのである。
あの光景が忘れられない。ファンは涙を流しながらも笑顔で、秀樹さんを送ろうとしていた。明るい曲調と秀樹さんの力強い歌声も、一助になったのかもしれない。とにかく「悲しい」という気持ちより、「これまでありがとう」という気持ちが勝ったのであろう。記者の隣にも、笑顔で涙する関係者の姿があった。すてきな光景だった。記者のほおにも思わず涙がこぼれた。
告別式とは、故人に最後の別れを告げる場だ。数時間後には荼毘(だび)に付され、その肉体は失われる。考えるだけで悲しくなってしまう。
こんなにもたくさんの人の愛に包まれ、笑顔で送り出される告別式なんて、めったにないだろう。もちろん秀樹さんからすれば、成人前の子ども3人をおいて先立つ悔しさが何より大きいと思う。それでも、死後もなお多くの人に愛される人生を送ることができる人は、めったにいないのだ。幸せな人生だったことと思う。今の芸能界にここまでのスターはいないだろう。
幼い娘息子たちも、あの告別式をへて、あらためて父の偉大さを実感できたことと思う。亡くなった方に「うらやましい」という言葉は不適切かもしれないけれど、「いい人生だなあ」と思った。



