テレビ朝日系アニメ「一休さん」の主人公・一休さんの声などで知られる、女優で声優の藤田淑子さんが28日、浸潤性乳がんのため死去した。68歳だった。所属の青二プロダクションが同日、発表した。レギュラー出演していた同系「世界が愛した絵本」の収録を7月末に行ったのを最後に、療養していた。通夜、告別式は家族葬で執り行う。

一休さんをはじめ80年「がんばれ元気」の堀口元気、87年「キテレツ大百科」のキテレツこと木手英一などの少年役から米アニメ「トムとジェリー」のネズミのジェリーまで、幅広い役どころを演じた藤田さんが逝った。青二プロの関係者によると、藤田さんは4年ほど前に乳がんが見つかり、体調を見つつ事務所と相談して仕事を続けてきた。

12年から出演していたフジテレビ系アニメ「ONE PIECE」では事務所所属の後輩・田中真弓が演じる主人公モンキー・D・ルフィと激闘を展開した、大海賊“四皇”のビッグ・マム(シャーロット・リンリン)を演じたが、17年4月30日放送回から、事務所の後輩・小山茉美にバトンタッチしていた。ファンの間では体調不安説も流れたが、プライベートを明かすことを嫌う藤田さんは詳細を公表しなかったという。「世界が愛した絵本」の収録を最後に休養していたが、最近、容体が急変し亡くなったという。

藤田さんは中国大連で生まれ、7歳から子役として活動を始めた。65年のアニメ「怪盗プライド」に妖精ハニー役で出演後、75年から82年まで放送された「一休さん」で当たり役をつかんだ。少年役でレギュラー出演する際は、他作品で少年役を演じないことがこだわりで、演じるキャラに全てを注いだ。「キャッツ・アイ」の来生泪、「ガラスの仮面」の月影千草など人気アニメに多数出演した。

女優としても活躍し、76年の日本テレビ系ドラマ「前略おふくろ様」などに出演。04年には宮本亜門氏演出の舞台「INTO the WOODS」でシンデレラの継母を演じた。