ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)にコカインを譲り渡したとして、麻薬取締法違反の罪に問われた無職田坂真樹被告(48)の初公判が25日、東京地裁(楡井英夫裁判官)で開かれ、起訴内容について認めた。検察側は懲役2年6カ月を求刑した。弁護側は執行猶予を求めて即日結審した。判決公判は28日。

起訴状によると、3月11日に自宅近くのコンビニ駐車場で、瀧被告にコカイン6グラムを15万円で譲り渡したとされる。田坂被告は、93年や98年頃から瀧被告とクラブで知り合い、その後交友関係がスタート。お互い子どもが出来る14~15年前までは頻繁に遊ぶ仲だったという。

その中で、11~12年頃から数十回にわたって、薬物の受け渡しを行っていたという。今回も3月6日に、売人から連絡を受けた田坂被告が瀧被告にスマートフォンアプリを通じて「週末に飲み会がしたい。今、店を探してる」と“隠語”でメッセージを送り、瀧被告は「行く行く、でも月曜じゃダメ?」などとやりとりをし、前払いで代金を口座に振り込み、同11日(月)に譲渡した。

あくまで売人から指定された金額を瀧被告に伝え、その金額を受け取った上で売人に支払っていたといい、金銭などの報酬はなかったとした。それでも長年にわたって薬物の譲渡に関与してきたことについて田坂被告は「瀧さんのような有名人と仲が良いことに優越感があった。ライブのチケットなどもとってもらいたかった。ミーハーな部分があったと思う。一緒に遊んでいた当時よりも有名になって、誰もが知っている芸能人の頼み事を聞いてあげていると思っていた」と述べた。

また検察側からの田坂被告の夫への聴取や、被告人質問の中で、瀧被告が逮捕された翌日、瀧被告の妻から呼び出され、瀧被告がおもに薬物を使用していた自宅とは別の都内のマンションで会い、そこでマンション内にあった白いポリ袋を捨てたことも明らかになった。田坂被告は、そのポリ袋の中身については「見ていません」とした。

麻薬取締法違反(使用)の罪に問われた瀧被告は18日、東京地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受け、公判で「(田坂被告の)連絡先は消去し、今後連絡を取ろうとは思わない」と話していた。田坂被告は「もう2度とこういう犯罪に関わらないことを約束します」と涙ながらに話した。