ダウンタウン松本人志(55)が21日、コメンテーターを務めるフジテレビ系「ワイドナショー」(日曜午前10時)に生出演し、吉本興業に対して「芸人ファースト」を訴えた。19日に収録済みも、20日に行われた、雨上がり決死隊宮迫博之(49)とロンドンブーツ1号2号田村亮(47)の会見を受けて急きょ生対応。これまでの会社の対応に疑問を呈した。吉本興業の岡本昭彦社長(52)もVTR出演し、会見することを明言。その後同社は22日午後2時から会見することを正式に発表した。

   ◇   ◇

岡本社長と初めて会ったのは25年くらい前のテレビ関係の会合。20代半ばで丁寧な若者だった。14年の京都国際映画祭で再会した時は、すでに吉本のお偉いさんになっていたが、柔らかい関西弁で応対してくれた。「立場は人を作る」と感じ入った。吉本興業は平成の時期に大きく発展。今や関西を代表する企業の1つだ。有名アナウンサーやテレビマンが、子弟を入社させているのもその証拠なのだろう。

ただ気になったのは、6000人といわれる芸人に対する、社員の態度だ。今回、宮迫が契約解消された際にテレビ朝日系「アメトーーク!」の今後を聞くと、関係者は「パッケージができているから、誰がやっても大丈夫。実際に『行列のできる法律相談所』も、島田紳助さんがいなくても大丈夫でしょ」と笑った。皮肉にも、11年に暴力団関係者との交友で引退した島田さんの後任の司会の1人が、今回の“主役”の宮迫だった。

売れっ子芸人も、上から目線の関係者からすれば「6000分の1」だ。「うちで、本人でなけりゃ番組が成り立たないのは、明石家さんまさんとダウンタウンだけ」という言葉に、芸人に対する愛情は感じられない。芸人の事務所から総合的なコンテンツを提供する芸能事務所に飛躍したい経営陣の思いは理解できる。ただ、不祥事を起こした芸人を切り捨てるだけでなく、救う道を優先することを考えねばならないのではないか。それが、松本の言う「芸人ファースト」だと思う。【小谷野俊哉】