自宅で合成麻薬MDMAやLSDなどの薬物を所持したとして、麻薬取締法違反(所持)の罪に問われた女優沢尻エリカ被告(33)の初公判が31日、東京地裁で開かれた。さまざまな違法薬物の名が出たが、専門家からはあらためて「プロ」のドラッグユーザーだったのでは、との指摘も出ている。

検察側は、沢尻被告が19歳のころから大麻を含む複数の違法薬物を使用していたと指摘。情状証人として出廷した主治医は、LSDなどの幻覚剤やクラブなどで使用し、大麻は長めの休暇の際などに使っていたなどと明かした。また逮捕後の供述段階では、MDMA、LSD、大麻のほか、コカインの使用歴も話したとされている。

ただ、摘発例が多い違法薬物である覚醒剤については、供述でもこの日の初公判でも出ていない。沢尻被告がこの約14年間、覚醒剤を避ける形で違法薬物ユーザーを続けていた可能性もある。

薬物に詳しい捜査関係者は「名が挙がっている薬物をすべて使ってきたのが事実なら、状況に応じて気分が上がる“アッパー系ドラッグ”とされるコカインや抑制される“ダウナー系”の大麻、幻覚などを見ることがあるLSDなどを、精神が暴走しない程度にコントロールしながら、過剰にならないよう使いわけていたとも推認される。中高年の薬物常用者にもこうした使い方がしばしば見られ、“ベテランジャンキー”と言えるかもしれない」との見方を示した。

覚醒剤がないことについては「作用や依存性が強烈で、使用欲をコントロールすることが困難なことから、あえて覚醒剤に手を出さなかったようにもうかがえる。もしそうだとすると、違法ドラッグの“プロ”という印象すら持ってしまう」と解説した。

初公判で、沢尻被告の主治医はMDMA、LSDについての依存症はみられないとし、大麻に関しては軽い依存症が認められるとした。また沢尻被告は弁護人質問の際、「自分の中で薬物をコントロールできると思っていましたが、それは大きな間違いで、気づいたら薬物と制するより、薬物に制される状態でした」と話した。