今年から出場資格が、芸歴10年以内に変わったR-1で、ゆりやんレトリィバァ(30)が優勝した。おいでやす小田、ルシファー吉岡、三浦マイルドといった、おなじみがいなくなり寂しさもあったが、実績NO・1のゆりやんが“横綱相撲”で初戴冠した。

決勝に進出した9人の中で、過去にR-1で決勝進出の経験があるのはゆりやんだけ。15年から4年連続決勝進出。そのうち15、16年に3位、18年に準優勝と実績は他を圧倒していた。過去2年間は「絶対に優勝しなければいけない」というプレッシャーから逃れるため不参加だった。3年ぶりの出場で、待望の戴冠を果たした。

優勝こそ、おなじみのゆりやんだったが、他の8人は決勝初進出。優勝者の「その後」がネタにされることもあるR-1だが、新しい風が吹いた。

特に素晴らしかったのが、芸歴2年で最年少の女芸人、高田ぽる子(22)だ。

決勝では、おじいちゃんの乳首がとれたので買いに行く、堂々の「乳首ネタ」を披露した。乳首の色、サイズ選択を音楽に乗せながら、100万円の巨大乳首を買って帰る。

高田は「光栄でございます。ありがとうございます。こんなに若くして大きな番組に出られた。初テレビみたいなもんです」と笑顔を見せた。「お行儀のいい」芸人も増えてきた。その中で、テレビで乳首ネタを披露した高田は斬新だった。

個人的には、今や登録者230万人超の人気ユーチューバーとなった、江頭2:50(55)と出会った時以来の衝撃だった。コンプライアンスという言葉がなかった90年代前半。江頭と一緒に、かなりギリギリなところに取材に行った。高田の今回のネタもギリギリだったかもしれないが、ある種の“ファンタジー”に包まれていた。

高田はメイド喫茶で働きながら女優を目指していたが、現在の所属事務所のマネジャーに「芸人になってもいいんじゃないか」と言われて、あっさりと方向転換した。19年に芸人になって、フリーとして活動。当時、芸人がバーテンダーを務める東京・新宿のゴールデン街の店で、働く姿を見かけたことがある。昨年9月にナイツなどのマセキ芸能社に所属した。

芸歴は、まだ2年。さらなる飛躍を期待したい。【小谷野俊哉】

R-1グランプリ詳細はこちら―>