今月7日に決勝が行われ、ゆりやんレトリィバァ(30)が優勝したピン芸人日本一決定戦「R-1グランプリ」。今年から出場条件が芸歴10年以内に変更され、数々のベテラン芸人が悔し涙にくれた。今年が芸歴31年目で、いまだブレークを目指すピン芸人、ふとっちょ☆カウボーイ(47)に思いを聞いてみた。

高校2年の時に出たラジオ番組のお笑いコンテストで優勝した。憧れはとんねるずやウッチャンナンチャンだった。91年に同級生と“高校生芸人”コンビ、ベガーズとしてデビューした。以後、コンビの「だぼぱん」、トリオの「なごみ堂!」、ピンになって「ジュニー・ザ・ピンボール」から、08年にTBS「あらびき団」で東野幸治(53)の提案により「ふとっちょ☆カウボーイ」に改名。ブレークの兆しが見えたが、大きな火が付くことなく今に至る。

ふとっちょは「R-1には毎年出ていて、準々決勝進出が最高。出場資格が変わった時は、ショックだったけどホッとした気持ちもあった。あれば出なきゃいけない義務もあったし、また出たい気持ちもあったから。でも、切り捨てられた感もあって寂しかったですね」と振り返る。

今年の決勝は「ちゃんと見ました。やっぱり、ゆりやんは面白かった。若い人はみんな、しっかりとネタを作っていてすごいと思いました。10年以上の中には勢いだけでやるのもいましたから。(16年王者の)(ハリウッド)ザコシ(ショウ)さんみたいな人はいなかった(笑い)。ザコシさんは、芸人たちが一番面白いと感じている人ですけどね」。

08年にTBS系「あらびき団」で、東野に提案されてふとっちょ☆カウボーイに改名。「いろいろな人から太れと言われて、80キロから110キロまで、30キロ増量しました。病気は何もありません、健康です。左ヒザを大けがしたことはありますけどね」。ブレークの予感を感じさせたが、大きなうねりにはならなかった。

気が付けば芸歴31年目。「やめようと思ったことは、数え切れないほどありますよ。前に所属した事務所がなくなって、どこも拾ってくれなかった時は『もうやめなきゃいけないのかな』と思いました。昨年1月に今のラフィーネプロに拾ってもらって感謝しています。コロナ禍でも、久々にテレビに出してもらったりしてますからね」。

先月21日に行われた、R-1出場資格を失った芸人による「Be-1グランプリ」に出て、全身青塗りで「丸亀製麺でレジで2000円超え勝ち」など“デブあるあるネタ”を披露して4位。東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出案で、同じピン芸人の渡辺直美(33)の容姿いじりが問題なった。「直美さんは、面白いし、すごい人になっちゃいましたね。太ってることをネタにして、いじめっぽく思われてしまうかもしれないのは困ります。直美さんの替わりに開閉式に出られたら夢ですね(笑い)」と話している。

あと3年で50歳。「38歳くらいの時は、40歳になったらどうしようとイライラしていました。でも、40歳を過ぎたら、これでいいと思えるようになった」。アラフィフで芸歴31年目の今もブレークせず。悲惨な芸人人生を想像しがちだが、本人はいたって明るい。「結婚はしてますよ。子供はいないけど、奥さんが普通の事務の仕事をしていて、僕もスーパーのバイトで稼いでいるからやっていけています」。妻は10歳以上年下の35歳。「ライブのスタッフをやっていた19歳だった奥さんに一目ぼれして猛アタック。10年以上つき合って、5年前に結婚しました」と笑顔を見せる。

好きなことをやって、好きな人と結婚する人生。あとは「50歳までに売れたい」という思いを現実にするだけだ。【小谷野俊哉】

◆ふとっちょ☆カウボーイ 1974年(昭49)1月4日、名古屋市生まれ。CBCラジオの伊集院光の番組のお笑いコンテストで優勝して、91年にお笑いコンビ、ベガーズでデビュー。高校卒業後、上京。94年にお笑いコンビ、だぼぱん結成。01年お笑いトリオ、なごみ堂!結成。07年ピン芸人、ジュニー・ザ・ピンボールとして活動開始。08年、TBS「あらびき団」で東野幸治の提案により「ふとっちょ☆カウボーイ」に改名。178センチ、110キロ。血液型B。