中村勘九郎(39)中村七之助(38)尾上松也(36)らが出演する「信州・まつもと大歌舞伎」の「夏祭浪花鑑」(17~20日、長野県・まつもと市民芸術館)のオンライン生配信が決まり、勘九郎が取材に応じた。

「夏祭-」は5月に渋谷で開催されたコクーン歌舞伎で上演されたが、緊急事態宣言発出により10公演が中止になった。行けなかった人、宣言下の東京に行くことをためらった人の思いに応えたいと配信が決まった。勘九郎は「多くのお声をいただき、その方々にお届けするのは配信が一番いい」と話した。

もともと勘九郎は、歌舞伎公演を配信することには懐疑的だった。生で見てほしいとの思いは今も変わってはいないが、昨年7月に初めて配信を行った時、観客の反応に驚きを隠せなかった。見えを決めたタイミングで一斉に、チャット欄に「中村屋!」の掛け声ならぬ掛けコメがあふれた。「888888」と拍手を送るコメントも並んだ。予想以上の反応と反響に大喜びだった。

勘九郎はあくまでも趣味でと前置きしつつ「いろんなアーティストの配信公演を見ました。嵐のコンサートは、あの時できる最高の技術を使っていた」と語り、さらに「今は夢が広がります」と、ギリシャのパルテノン神殿の前での歌舞伎を配信する想像もしている。

父勘三郎さんへも思いをはせ、勘九郎は「父は発信し続けなければいけないという考えを持っていたので、もしかしたら、配信も積極的にやっていたかも」。

すべてはお客様に楽しんでもらうため、という中村屋イズムが今回の配信公演につながった。

「信州・まつもと大歌舞伎」の「夏祭浪花鑑」の配信は20日午後3時の回。【小林千穂】