吉沢亮主演の大河ドラマ「青天を衝け」の脚本を務める大森美香氏が、このほどオンライン取材会を行った。放送も残すところ4回。終盤の見どころ、作品への思いなどを語った。

“日本資本主義の父”と呼ばれる渋沢栄一の物語。放送はラストスパートに差し掛かり、大森氏は「日本のためにと頑張ってきた栄一の目が世界に向く。足を止めずに最後まで生き抜く姿が見どころです」と紹介。放送を見て吉沢演じる渋沢と草なぎ剛演じる徳川慶喜に相性の良さを感じ、共演シーンを増やしたという。渋沢と慶喜の最後の場面については「『長生きしてよかった』と思えるシーンになって欲しかった。2人が共に天寿を生きるシーンを楽しみにしている」と期待を寄せた。

前作「麒麟がくる」の放送終了が遅れた影響で、「青天」のスタートも繰り下げとなった。コロナ禍前に放送された「いだてん~東京オリムピック噺」の全47回から比べると、6回少ない全41回。「短い」と嘆く質問に「私もそう思います」と応じて笑わせつつ、ドラマでは何があっても生き抜こうとする栄一を描き「期せずしてこの時代に合うものに途中からなっていったのかなと、思うところもあります」と語った。

脚本を手掛けた15年後期の連続テレビ小説「あさが来た」にも渋沢は登場したが、「その時は『銀行の神様』というイメージが強かった」。また「偉人伝ではなく人間ドラマとして見たいと思った時、この人がどうやって出来上がったのかが要になると思った」と、故郷・血洗島で得た家族からの教えなどルーツの部分を丁寧に描いたという。攘夷(じょうい)の志士から幕臣、新政府から民間に転じるなど破天荒な人生だったが「お父さんとお母さんが偉い。奥さんも偉い。そこあってこその栄一さん。私も、ま~た栄一こんなことして!と思いながら史実の本を読んでいたくらいだったので、視聴者の方も共感してくれたのかな」と笑った。

主人公を演じた吉沢にも感謝し「渋沢栄一がどうしてこういう人物になったかを描きたいと思った時、吉沢さんが合っていると思った。お札のイメージがあるからおとなしく座っているイメージがあるけれど、吉沢さんの栄一には走っていって欲しいという気持ちがありました。走ってもらって大変だったと思うけど、私はとても好きでした」と振り返った。