歌手で俳優の福山雅治(52)が28日、代々木第一体育館から、無観客ライブ「裸の音」を生配信した。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、この日同所で開催予定だった有観客ライブを延期。それでも「音楽を伝えたい」と、4日前にオンラインライブの開催を決定。初の試みとして、本番前のリハーサルを生配信するなど「ありのまま」の思いや姿、そして音楽を視聴者に届けた。

会場の中央に向かって、福山が歩き出す-。この日は観客ではなく、スタッフから多くの拍手で迎えられた。昨年11月から開催している、3年10カ月ぶりの全国アリーナツアーの特別公演だ。21日に東京公演の延期を決断。この日は東京都の新規感染者数が過去最多を記録した。

「延期という決断ができたこと、(延期日の)4月の29、30日が奇跡的に空いていたこと。判断としては正しかったのかなって思っています。延期をしたけど、会場、最強のメンバーはいます。音楽で生きる人たちとともに、音楽をやろうじゃないかと急きょ形を変えて配信することになりました」。

「ありのままを見ていただきたい」と、リハーサルから生配信を開始。セットリストや演出も、全国ツアーから一変した。「通常、ライブというのは完成させていくものですが、今回は完成とか未完成とかではなく、音楽というものを純粋に楽しんでみようと。それが今できる、エンタメの最も伝えやすい伝わり方だと思いました」と言葉に力を込めた。

アンコールでは、昨年の「NHK紅白歌合戦」でも歌唱した「道標 2022」をパフォーマンス。「不要不急とも言われますが、音楽の役割、エンタメの役割がどういうことかっていうのを、僕たちも楽しみながらお伝えできたら」と話し、「あの夏も 海も 空も」「HELLO」「革命」など全14曲を披露した。

配信ライブになったことで、中国やアメリカなど世界中のファン、そして「(コロナ禍で)ライブ会場に行きづらい」と話す医療従事者からもコメントが届いた。チケット価格は、福山らしく遊び心たっぷりの「3939(サンキューサンキュー)円」。「ライブをやると生き返る」。常にその時にできるベストを尽くしてきた男が、世界中に明かりをともした。【佐藤勝亮】