東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第64回(21年度)ブルーリボン賞が23日までに決定し、仲野太賀(29)が「すばらしき世界」「ONODA一万夜を越えて」「あの頃。」で助演男優賞を受賞した。

「実際、役者を続けて、自分とは縁がないと思った。まさか20代で、歴史のある賞をもらえるとは思っていなかった。とてもうれしい」と喜んだ。

13歳で芸能活動を始めたが「中学生の時、この仕事を始めて『ブルーリボン賞をもらえたら良いな』と友だちと話していたのを思い出した」と当時からブルーリボン賞を知り、注目していた。「何か、渋いから取ってみたいよねと…。誰かに褒められたい、ちゃんと役者だと認められるような、役者になりたかったというのが、あったのかもしれませんね」と笑みを浮かべた。

受賞対象作「すばらしき世界」では、憧れだった主演の役所広司(66)との共演が実現した。仲野は劇中で、役所演じる刑期を終えて出所した元殺人犯の三上正夫に密着取材する、小説家を志すディレクター津乃田を演じた。「ガッツリ共演するのが、俳優人生の中での最大の目標だった。夢のような時間だった。役割として見詰めるのが重要なので、自分の現場がなくても、お芝居を見させてもらう時間を作っていた」と振り返った。

そして「こんなに人のお芝居で、心が震えることがあるんだと。生で見た感動もありましたし、背中が偉大すぎて自分が、ちっぽけに見えた。まだまだ目指す場所は遠いけれど、もっともっと近づいて…ぜひ、またご一緒したいですし、もう少し力を付けていきたい」と再共演を目標に掲げた。西川美和監督(47)も監督賞を受賞しており「これまでの自分の、1つ1つの点が線になった感覚になった大切な作品。西川さんと一緒に受賞できてうれしい。頭が上がらない」と笑みを浮かべた。

19年6月24日から、俳優として生きていく決意の表れとして、芸名を太賀から仲野太賀に改めた。それからの日々を振り返り「この仕事は好きで始めたので、憧れもあった。それなりに、いろいろな作品も出させてもらった中で改名もした。始めた頃も違って、いいことばかりじゃないんだというのも、よく分かった。つらいこともたくさんあるし、悔しい気持ちにもなるし」と語った。

その上で「でも、この仕事に尊敬と憧れがあるのは変わらない。この2年半で、これまでとは違う、役のウエートが重くなってきて…ますます、熱くなってきていると自分で感じます。他にやること、ないんか、というくらい、どんどん、どんどん、この仕事に対して、熱を帯びている感じがします」と力を込めた。

来年、30代を迎える。若手から中堅へと歩んでいく年代だが「自分が納得できないお芝居をした時、才能がないなって毎回、思う」と苦笑いを浮かべる。その上で「やっぱり、もっとすてきな芝居がしたい、すてきな映画に出たいという気持ちが勝って、寝たら忘れます」と笑みを浮かべた。そして、改めて受賞して感じた思いを口にした。

「やってきたことは、間違いじゃなかった」【村上幸将】

◆仲野太賀(なかの・たいが)1993年(平5)2月7日、東京都生まれ。06年のフジテレビ系ドラマ「新宿の母物語」で芸能界デビュー。07年「フリージア」で映画に初出演し、翌08年の「那須少年記」で映画初主演。168センチ。血液型A。

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催も61年に脱退し67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから副賞は万年筆。主演男、女優賞受賞者が、翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。