渋川清彦(47)が15日、東京都写真美術館ホールで行われた映画「山歌」(笹谷遼平監督、22日公開)公開前先行試写で「最近、税金に接する機会があった。相続税やら何やらに直面し、国にいかにお金を取られているかを、つくづく感じた」と語った。

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「山歌」は、笹谷遼平監督が第18回伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞を受賞した「黄金」(旧題)を映画化した自身初の長編劇映画。かつて日本の山々にいた、財産も戸籍も持たず、自然の恵みを一身に浴び、生きた流浪の民・山窩(サンカ)を描き、杉田雷麟(19)が初主演。笹谷監督は「(日本にも)山から山へ放浪した人がいた。高校生の時、映画撮りたいなと思った。私は、ずっとドキュメンタリーを作って来たが、サンカはいない。だから(劇映画として)作っちゃおうと何本もシナリオを書いた」と経緯を説明した。

渋川は、同監督が「1965年(昭40)が映画の舞台なんですけど、そこを境に日本がサラリーマン社会になり、それまでの農村社会から新しい秩序が出来た」と語るのを聞き、うなずいた。その上で「サンカは全く、そういうの(税金)はないじゃないですか? 明治の時からなのか、国が関わって…意味が分からないけれど、しょうがないから」と首を傾げた。さらに「最近、すごく思うんです。しょうがないけど。まぁね。逃げ道みたいの、あるんですけど、すごく、ややこしくしてるじゃないですか。最近、ムカつくんっですよ」と続けた。

笹谷監督も「映画の助成金を得るときも煩雑…もらえるんだから頑張れよというのが日本の論理だけど他の国と違う。文化でも経済活動とみる。合理性の名の下、切り捨てられるのでじくじたるものがある」と同意した。すると渋川は「テーマが面白かった」と「山歌」を評価した。

「山歌」は、受験勉強のため東京から祖母の家がある山奥の田舎に来た中学生則夫(杉田)が、父と祖母の圧力を受けて勉強を強いられる中、近所の山に入る。そこで漂泊の旅を続ける山窩の一家の長・省三(渋川)と娘で野性味あふれる心優しいハナ(小日向なる)と出会い、交流を持ち、蛇やイワナを捕って食べる体験を通し生きることを体験する。一家が特別な存在となっていく一方、一家が山での生活を続けられない状況に追い込まれている加害者の1人が自分だと知り、ある事件を起こす物語。

杉田は「自然の大きさ、魚とかも生きている時に焼いている。暇な時、なぁなぁと生きていたけれど、命、自然の偉大さを改めて思い知り、命をいただいていると実感しました」と出演した感想を語った。小向なる(21)も「この作品を通し、みんな生きているんだと実感したので、生きている事って当たり前じゃないと思えた作品。機会を与えてくれた監督に感謝します」と続いた。

渋川は最後に、笹谷監督から「今までの作品で一番、大変だというお言葉をいただいた」と投げかけられると「大変だったよね。監督の初期衝動…劇映画1作目は幸せなこと。また面白いテーマの劇映画を撮って欲しい」と呼び掛けた。