テレビ朝日は25日、東京・六本木の同局で定例社長会見を行い、篠塚浩社長が、安倍晋三元首相の国葬に関する事実誤認発言で出勤停止10日間の謹慎処分を受けた報道局社員、玉川徹氏について語った。

視聴者センターへの意見については「公開を前提としておりません」としつつ「当然のことに厳しいご意見のある一方、ご理解をいただいているご意見も多数届いているというところでございます」と明かした。

玉川氏の今後の出演形式については「玉川本人が申しましたように、まずは現場に足を運びまして、取材をして報告するという基本に立ち返る形で出演を続けていきます」と語った。期待することについて問われると「やはりですね、そもそもディレクターなわけです。これまでもきちんと取材してきましたが、毎日の放送だとどうしても電話だったり、仲間の取材を集めることであったり、なかなか現地で取材する時間もとれなくなっていた」とし「今回、こういうことになったので、原点に立ち返って足で取材して、その結果を、VTRにまとめるということもあるだろうし、まとめて出演して解説するということもあるでしょうし、現場から中継するというスタイルもあるでしょうし。これまでの経験を生かして取材をもとに番組に貢献してくれたらなと思います」と語った。

また、篠塚社長は再発防止策について「今回のことがきっかけではない」としつつ「事実確認の大事さは我々も常にやっております。昨年来、いろいろなことが報道局ではありましたので、さまざまな基礎的な研修を今はじめているところであります」と明かした。

玉川氏は9月28日にコメンテーターを務める同局系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」内で、安倍元首相の国葬で行われた菅前首相による弔辞読み上げに関して「(広告大手)電通が入っている」などとコメント。翌29日に「事実ではありませんでした」と発言を訂正し謝罪した。同局は10月4日に処分を発表し、5日から謹慎期間に入っていた。

その後、19日の放送で復帰。玉川氏は紺色スーツに黒ネクタイで別室から出演。硬い表情で「今回の私の事実誤認のコメントによりご迷惑をおかけした電通、および菅(義偉)前総理大臣に対し、あらためておわび申し上げます」と謝罪し「私の慢心とおごりがあったからだと反省致しました」と頭を下げた。

今後も出演は続けるといい「これからは、現場に足を運び、取材をし事実確認をして報告する。その基本にもう1度立ち返るべきだと考えました」と伝えた。同局によると、今後も肩書は「コメンテーター」で、現場取材をしながらスタジオで報告することもあるという。

テレビ朝日は10月4日の定例社長会見で、玉川氏を含む社員3人の処分を発表。玉川氏は「謹慎」(出勤停止10日間、5日から)、上司である報道局情報番組センター長と番組センターCP(番組担当)は「けん責」処分とした。篠塚社長は当時の会見で玉川氏が誤解をした理由について「本人によると、臆測によるさまざまな情報を入手して、誤解をしてしまった」と説明。「本人は深く反省しています」と話していた。