歌手堺正章(76)が1日、ブルーノート東京で、デビュー60周年記念ライブの開催を前に、取材に応じた。

バックバンドとともに、ザ・スパイダース時代の「バン・バン・バン」と「ノー・ノー・ボーイ」を披露。60周年を迎えたことに「あっという間というわけではありませんね。紆余(うよ)曲折がありました。いろんなことを自分の栄養として、失敗から学び、60年間修行をしていたような、そんな感じです」と語った。

16歳でザ・スパイダースに加入。ソロ歌手転向後は「さらば恋人」がヒット。役者としてはドラマ「西遊記」が話題となり、バラエティー番組や、司会者としても数多くの番組を仕切ってきた。

マルチタレントとして活躍してきたが「できることなら歌で一生を終えられたらよかったというのが本音です。バラエティーとか司会業とかせず、歌1本の方を見ると素晴らしいなと。歌番組で、歌う方を紹介するの時に、情けなさを感じることがありました。でも、60年間、注目を浴びて輝き続けるのは、歌だけでできたのかとも思います。需要と供給がありますので、私は需要に応じることで頑張ってきたと思います」。

記念ライブについては「古巣に戻ったというか、自分が中心で、歌を歌えるのはこの上ない喜びです」。取材陣を前に歌声を披露したが、高音も含めての声量は抜群だった。「昨日も公演を行ったのですが、声が出ていると言われました。スパイダース時代に地金をうまくたたけたのではないかと思っています」。

今回のステージは、ザ・スパイダース時代の曲を中心に構成した。その意図を「ルーツですね。僕のルーツはスパイダースにある」。ザ・スパイダースは田辺昭知氏(現田辺エージェンシー社長)をリーダーに堺ら6人が集まった。グループサウンズ全盛時代で、ザ・タイガースやテンプターズなどと人気を分け合った。スパイダースについては「田辺さんをリーダーとしたグループシステムでした。タイガースは沢田研二、テンプターズはショーケンといったスターがいたが、スパイダースはかまやつ(ひろし)さんも、たまには井上順とか、みんなが前に出ていった。そこがよかったのだと思う」と評した。

特別ライブは11月30日と1日、3公演を開催し、750人を動員する予定。