三遊亭好楽(76)が40年ぶりに落語協会の定席に出演することが17日、分かった。2月中席(11~20日)の浅草演芸ホール昼の部の「五代目春風亭柳朝三十三回忌追善興行」に出演する。

好楽は落語芸術協会の定席には数年前から何度か出演しているが、落語協会の定席出演は師匠だった八代目林家正蔵(後の林家彦六)の死後、1983年に落語協会を退会し5代目三遊亭円楽門下に移籍後は初めて。追善興行ということで特別に落語協会理事会の承認を得ての出演となる。

5代目柳朝は立川談志、古今亭志ん朝、5代目円楽とともに「若手四天王」と言われ、同じ8代目正蔵門下だった好楽をかわいがっていた。興行には同じ正蔵門下の林家木久扇、柳朝の弟子の一朝、小朝、正朝のほかに当代の正蔵、孫弟子の蝶花楼桃花も出演し、トリは6代目柳朝。木久扇は「柳朝兄さんの追善に同じ一門だった好楽さんが出てくれるのは本当にうれしい」と喜んでいる。

21日から始まる同ホールの1月下席(30日まで)昼の部では「四代目桂三木助二十三回忌追善興行」が行われる。人気落語家だった三木助は43歳の若さで急逝した。4代目の父3代目三木助の弟子だった木久扇(三代目の死後に8代目正蔵門下に移籍)、4代目と親交のあった小朝、正蔵、柳家小さん、柳亭市馬、林家しん平らが出演する。

トリは3代目の孫で4代目のおいにあたる5代目三木助。「先代、先々代の名前を汚さぬよう精いっぱいの高座を務めます」と話している。

それぞれの興行の休憩時間に当時の柳朝、三木助の貴重な高座の録音を流す趣向もある。【林尚之】

○…好楽は8代目正蔵門下で林家九蔵を名乗っていたが、師匠の死後に5代目円楽門下に移り、好楽と改名した。円楽一門は落語協会から離れて寄席から締め出されていたため、好楽も寄席に出られなかった。しかし、昨年亡くなった六代目円楽が落語芸術協会の客員となり、好楽も同協会の定席に出演するようになった。今回の落語協会の定席出演も、寄席以外では協会の壁を越えて交流しており、反対もなく特例として実現した。

○…落語界には東京に落語協会(柳亭市馬会長)、落語芸術協会(春風亭昇太会長)、五代目円楽一門会(三遊亭円橘会長)、落語立川流の4団体、関西には上方落語協会(笑福亭仁智会長)がある。落語協会は所属会員が300人を超える最大の団体で、落語芸術協会は約170人、円楽一門会、立川流はそれぞれ約60人。

都内の寄席は鈴本演芸場、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場があり、落語協会は4つの寄席、落語芸術協会は鈴本演芸場以外の3つの寄席で興行を行っている。落語協会から分裂した円楽一門会、立川流は寄席から締め出されているが、円楽一門会はお江戸両国亭で「円楽一門両国寄席」を開催している。