日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が31日、都内で開かれた。発表には、22年9月に東京オリンピック(五輪)汚職で逮捕、起訴された前会長の角川歴彦被告が逮捕された、KADOKAWAの夏野剛社長(57)も出席。同社長は、角川被告が同11月4日に同社会長辞任後も留任していた取締役を辞任したことなど、体制変更で懸念が高まっていた、同社の映画事業に関して説明した。

夏野社長は「昨年は、当社が業界、観客にご迷惑をおかけし、大変、申し訳ありませんでした」と謝罪した。その上で「ご懸念、ご心配はあるかも知れませんが、体制変更で映画どうするんだ? というのは、あると思う」と切り出し、今後の映画事業について語った。

同社長は「映画…実写、アニメは未曽有のチャンスを迎えていると考えています。製作中、撮りおわった映画は、ものによって公開するもの、しないものを仕分けして出していくものは出していく、出さないものは出さない判断をする」と語った。実写では新作として「わたしの幸せな結婚」の公開が3月17日に控えている。夏野社長は「(実写は)何本か出したい。アニメは好調に推移してるので力入れてやっていきたい。昨年以上にお金、力をかけてやっていきたい」と語った。

質疑応答で「出していくものは出していく、出さないものは出さない」という言葉に対し、その真意を問う質問が出た。夏野社長は「大きく受け入れられるものをお出しする。今までも、それを狙っていた。受け入れられるものを出していく。受け入れられるものを作っていく」と重ねて強調した。

映画業界のみならず、映画、アニメファンの間でも、KADOKAWAが映画、映像事業を縮小するのでは? との懸念の声も出ていた。夏野社長は「KADOKAWAの映像事業は実写、アニメと部隊が分かれる。アニメは拡大傾向。実写は大作をやる時、お金をかけてきた」と同社の製作状況を説明した。

その上で「(映像事業は)拡大していく。日本の映像コンテンツの世界的な需要は高まる」と強調。公開作品を仕分けしていくと説明した件については「過去のものについて…公開できる、できないというものがある。ちゃんと、お客さまに見ていただけるものは公開することを、体制変更の過渡期にはきちんとやる、ということを申し上げる」と説明。「そういうこと(映像事業が厳しく縮小するということは)ないということを今日、宣言させていただく」と強調した。