TBS系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」に主演した俳優の団時朗(だん・じろう)さん(本名・村田秀雄=むらた・ひでお)が22日午前4時14分、肺がんのため亡くなった。74歳。24日に所属事務所が発表した。

団さんは17年夏に肺がんと診断されるも「ユーモアと優しさを失わず、生きるパワーに満ちあふれて仕事にまい進」(関係者)していたが、昨年末に体調が悪化して力尽きた。葬儀は近親者のみで営む。

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本当に多くの舞台で団さんを見た。彫りの深い顔立ちで、舞台での存在感は際立っていた。器用な俳優ではなかったけれど、まじめに取り組む団さんを大物俳優は愛した。森繁久彌さん、森光子さん、黒柳徹子さん、美輪明宏さん、坂東玉三郎さんが主演する舞台には、団さんの姿があった。低音でよく通る声が魅力で、せりふが明瞭だった。そこにも愛される理由があった。

黒柳さんとは9回も舞台で共演した。弁護士や作家、引退した老俳優、実業家などさまざまな役を演じたが、どの舞台姿も格好が良かった。ある時、女性週刊誌に黒柳とのツーショット写真とともに「デート」と報道された。「ベッドルーム・ファンタジー」という舞台で共演し、他の出演者とともに稽古終わりで食事した時に撮られた。当時76歳の黒柳さんは「うれしいって思いました」と、15歳下のイケメン俳優の団さんとのデート報道を喜んだ。

代表作は「帰ってきたウルトラマン」で間違いないけれど、40代から努力して演技力を磨き、舞台に欠かせない俳優として活躍した。晩年までルックス、声、スタイルの良さを維持した団さんは、まさにプロの俳優だった。【林尚之】