長渕剛(67)が28日、2年後の25年10月に21年ぶりの鹿児島・桜島コンサートを開催する計画を発表した。
この日、大阪城ホールで行われた「コンサートツアー2023 OH!」の最終公演で明かした。来年24年には自身初のアジアツアーを敢行し、桜島は「歌は国境を越える」を実証する集大成の場にもなる。長渕は「桜島はラストステージ」と語っており、アーティストとしての進退を掛けて臨む覚悟である。
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中盤で長渕が9500人の大観衆に向かって叫んだ。「2年後の10月、桜島やります!。目標は1つになること。来年はアジアを回ります!」。会場に桜島コールが起きた。
桜島は長渕のふるさと鹿児島を象徴する活火山。04年8月、7万5000人を集めてオールナイトコンサートを行った。再び、その地に立つのだ。
「純恋歌」でデビューして45年がたった。「現役45年、ファンと一体感を作り上げてきた。そこに誇り、自信、そして影響力を感じる。でも人間には限界値がある。最後にできること、そのエネルギーをどこに使うべきか」。答えは桜島だった。「(あの日の)記憶が風化している。あらためて祭典の意味を残したい」と話した。
同時に、自分の影響力の責任をどう果たすべきかも考えた。「乾杯」「とんぼ」など、長渕の曲はアジアでも広く知られる。「歌は国境を超えられる。アジアには多くのデリケートな問題があるが、歌が人の心をつないでいくことを実証したい。これも最後の僕の戦いです」と、来年初めてアジアツアーを行うことを決意した。そこで得た確信を、桜島で集大成として表現したい、という。ツアーは日本も含め韓国、台湾、香港、マレーシアなど約10カ国・地域で行う計画だ。
2度目の桜島は準備期間を設け、25年10月に5万人を集めて開催する計画だ。04年以来21年ぶり。大規模野外コンサートは15年8月の静岡・富士山麓ライブ以来10年ぶりとなる。アジア歌手との共演も考える。前回同様、9時間を想定しているが、若いファン層を考慮して、午後9時までには終了する予定だ。
長渕は「桜島はラストステージです。実現には想像以上の命の燃焼が必要。だからこれが自分の最後だ、と腹をくくらないとできない。長渕剛として生き切る上での、ラストということです」と話した。進退を掛けた挑戦になる。【笹森文彦】
◆桜島オールナイトコンサート 04年8月21日午後9時過ぎから、鹿児島・桜島の荒れ地を整備した野外会場に約7万5000人を集めて行われた。翌22日午前6時過ぎまで2回休憩を挟み、約9時間で42曲を歌った。限界に挑戦して、人々が忘れている情熱、感動の発火点になることが目的だった。経済効果は50億円。会場跡地に記念碑「叫びの肖像」が建立された。
○…ラグビー日本代表の初戦のチリ戦(10日)で、「とんぼ」と「乾杯」が、試合の前後でそれぞれ流れた。W杯関係者から「ウォーミングアップと試合終了後に流す曲のリクエストがあるか」と問われ、選手が長渕の曲を提案した。長渕は「僕の曲はアスリートの連中にも聴いてもらっていますが、異国で歌われるのは涙が出るほどうれしいです。フランスにも行かなきゃ(笑い)」と喜んだ。