元SKE48/AKB48の女優木崎ゆりあ(28)が、7月に東京・紀伊國屋ホールで上演された「熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン」にヒロイン役で出演した。捨て身の潜入捜査を行う女性警察官と、夢破れた砲丸投げ選手の2役を演じた。愛のあるイジりを受け入れつつ、ボロボロになるまで体当たりの芝居を続ける姿に、元トップアイドルの意地を感じた。

同作への出演は18年の「熱海殺人事件 CROSS OVER 45」以来6年ぶり。「モンテカルロ・イリュージョン」では、超個性的な木村伝兵衛部長刑事を演じる多和田任益(30)はじめ、嘉島陸(25)鳥越裕貴(33)らと共演した。膨大な量のセリフをマシンガントークのように発し、歌やダンスなどのパフォーマンスも織り交ぜた心身共にハードな舞台だ。

女性警察官の水野朋子役では、部長刑事らとのコミカルでスピーディーなやりとりが見どころの1つ。さらに、昭和の人気曲をソロで歌唱したりデュエットしたりするシーンでは、“独特”な歌声で存在感を発揮した。男性陣から「お前の歌声ヤバいな」「ハモりがヤバい」などとネタにされても、堂々とドヤ顔で歌い続けた。アイドル時代は高いダンススキルで知られていたが、意外な? 歌唱力も赤裸々に披露。歌声については「普通に、本気で歌ってますけどね…」と笑った。

一方、五輪を目指す砲丸投げ選手のアイコ役では、感情を爆発させる場面を熱演した。何度も制止されながらも、振り切って叫びながら海に入っていくシーンでは、汗と涙でボロボロになりながら緊迫感あふれる一幕を展開した。

13歳だった09年に3期生としてSKE48に加入し、グループトップクラスの人気メンバーとなった。14年AKB48に移籍し、17年に卒業した。前回出演した「熱海殺人事件 CROSS OVER 45」はアイドル卒業後初の舞台出演。当時は恋愛経験もなかったという。「『なんだこの小娘は』って思われていたかもしれないです」と振り返った。それでも「今はもう28で、いい大人なので…。愛というものも少しは分かるようになったと思います」と説明した。グループ卒業後の人生経験も女優としての糧となっている。

舞台に向けてのインタビューで印象的だったのは、11年にAKB48の公式ライバルとして誕生した乃木坂46や「坂道」グループに対する意識だ。「最近は乃木坂46とか『坂道』の子が映像作品にどんどん出ている印象があって、やっぱり悔しい気持ちもあります」と率直に明かした。

確かに近年「坂道」グループには勢いがあり、女優としても乃木坂46の山下美月(24)がNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」、久保史緒里(23)がNHK大河「どうする家康」に出演するなどさまざまな作品に出演している。ただ、AKB48グループでも、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でヒロインの1人としてトリプル主演した川栄李奈(29)をはじめ、女優としての地位を確立したOGも少なくない。

木崎は「川栄の活躍を見るとやっぱりすごいなって思います」とうなずいた。仲が良く今でも交流のある元SKE48須田亜香里(32)や元AKB48入山杏奈(28)の名も挙げつつ「負けてられないと思います。AKB48グループの子たちも、ちゃんと強く芸能界に残っているんだ、っていうのを世の中に伝えたいです」と言葉に力を込めた。

SKE48の3期生オーディションに合格した当時は13歳だった。アイドルから卒業したのが21歳。芸歴15年で、まだ28歳。芸能界の荒波にもまれつつ、AKB48グループのプライドを胸に抱き、これからも殻を破って進化していく。【横山慧】