俳優舘ひろしがこのほど、主演映画「港のひかり」(藤井道人監督、11月14日公開)のロケ地、石川県輪島市を再訪した。

撮影に協力してくれた地元の人々にいち早く見てもらいたいという、舘のアイデアで、プレミア試写会が行われた。

舘は「今回のプレミア試写会をとにかくこちらでやりたかった気持ちが強かった。皆さんにご協力をいただいたことに対する感謝と応援の気持ちが伝わればいいかなと思っています」と話した。

プレミア試写会のあいさつでは、約700人の観客を前にした舘が、少し感情をあらわにするような場面もあった。「この輪島市を中心に能登半島で撮った映画です。その直後の震災で皆さん…本当に…きっと想像するよりも、もっと大変だったと思います」と語りかけた。舞台あいさつに立つ前に見た風景、地元の人たちとの会話やふれ合いがあったことが、こういう語りかけになったと感じた。

同作は、23年11~12月に輪島市や富山県で撮影された作品で、クランクアップ9日後に24年元日の能登半島地震が発生した経緯がある。作品には、震災発生前の町並みや港の風景が映し出されている。

プレミア試写会が行われる前、撮影場所だった輪島市の朝市通りを訪れた。通りの両側に建っていた建物がなくなってしまった風景を見て「言葉を失うとはこのことです」と衝撃を受けた。撮影に協力してくれた漁港関係者と再会し、現在の状況を丁寧に聞いていた。次の場所に向かうためにいったん車に乗り込んだ舘が、通りで待っていたファンに気付いて再び車を降り、サインや写真、握手に応じていた。

また、雨の中、地元の名産を扱う出店が並ぶ祭り会場にも足を運んで、積極的に会話をしていた。震災発生後、舘は同じく撮影地となった富山県で炊き出しを行ったが、輪島市訪問は撮影以来、初めての訪問だった。滞在中にできるだけのことはしたいという気持ちが見えた。

舘は、プレミア試写会を発案したことは、問われて初めて明かした。笹野高史が「ここで最初に上映しようと言った舘さんがかっこええなあと思いました。そうだ、そうだと賛同しました」と言った言葉にも舘は照れくさそうだった。そういえば炊き出しの時もそうだった。実は現地にいます、と聞いたのは炊き出しを行う当日だった。

まず行動を、という姿を見せてくれたような輪島市再訪だった。【小林千穂】