木村拓哉(52)が29日、ヒューリックホール東京で行われた、東京国際映画祭センターピース作品に選ばれた、山田洋次監督(94)の新作映画「TOKYOタクシー」(11月21日公開)公式上映に登壇。800席が満席となった客席を見渡し「こんなにたくさんの方に受け取っていただき、うれしいです。1番。大きい会場…800人の方に受け取っていただいたことに、興奮しております」と感謝。女性の観客からは歓声が起こり、中には涙した目を拭う女性ファンもいた。
「TOKYOタクシー」は、24年に日本アカデミー賞外国作品賞を受賞した22年のフランス映画「パリタクシー」(クリスチャン・カリオン監督)が原作。さえない日々を送る個人タクシー運転手が偶然、乗せた人生の終活に向かうマダムと出会い、1日、旅をする姿を描いた。木村は個人タクシー運転手の宇佐美浩二、倍賞千恵子(84)は85歳の高野すみれを演じた。
木村は、トークの中で「今、ご家庭にいてもスイッチを1つ入れれば、いろいろなコンテンツが選ばれたり、上映しているものを選択して楽しめる世の中になっていますけど」と、配信全盛の世の中であると口にした。その上で「映画のスクリーン、特別な音響に身を置いていただく、この特別感は僕にとってスペシャルな環境、状況だと思っています。その状況下で作品を受け取ってもらえるのが1番、うれしいことなので、うれしさと同時に、いろいろな国の方が、どういう感覚で見たか、興味があります」と、この日の上映の意義を強調した。
壇上で、山田洋次監督(94)に東京国際映画祭から特別功労賞を授与された。木村は、自らスタンドマイクを山田監督の横に移動させるなど、かいがいしく動いた。祝福のコメントを求められると「現役で、日本だけでなく、いろいろな題材…この作品もフランスの映画を東京でリメークしたいと。いろいろなところに欲、興味、愛情を持つからこその現役が賞に繋がったと、トロフィーをいただく監督の斜め後ろから見ていました」とたたえた。
その上で「こういう先輩がいると、やる気が出る。撮ってくれた人、光を当ててくれた人…全体の最たるところにいる山田洋次監督が、作品を届けてくれる。受け取ってくださった皆さんだからこそ味わえる、現役でいられる力を持っていただけるんじゃないかと思います」と観客に向かって語りかけた。木村の熱い祝福のメッセージに、山田監督は「ありがとう、木村君」と感謝した。
センターピース作品とは、37回を迎える前回の同映画祭で初めて設けられた。オープニング作品、クロージング作品と並ぶ目玉作品として映画祭の中盤を盛り上げる大作を上映し、24年は最初の作品として米映画「グラディエーター2 英雄を呼ぶ声」(リドリー・スコット監督)が選ばれた。
◆「TOKYOタクシー」 タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、ある日、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることに。すみれが浩二に「東京の見納めに寄りたい場所がある」と願い出たことから、2人で彼女の思い出の地を巡ることに。会話を交わし打ち解け、次第に心を許していく中で、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が2人の人生に想像もしなかった“奇跡”をもたらしていく。撮影は2月から4月まで東京近郊で行われ、倍賞が諏訪さくらを演じた山田監督の代表作「男はつらいよ」シリーズの舞台・柴又でも行われた。倍賞と木村の共演は、2004年(平16)のスタジオジブリのアニメ映画「ハウルの動く城」以来21年ぶり。山田組への参加は、倍賞は19年「男はつらいよ お帰り 寅さん」以来6年ぶり、木村は06年の主演映画「武士の一分」以来19年ぶりとなる。



