シャンソン歌手クミコ(71)が20日、自身のブログを更新。老老介護問題について思いをつづった。
クミコは「老老介護殺人。こんなタイトルは、見るだけで辛い」と切り出し、「昨年国立市で起きた、当時102歳の母親を今71歳の娘が殺害してしまった事件の裁判。その娘さんが同い年であることから、もう他人事ではなかった」と言及。「施設に入ることを嫌がった母親を、やっと翌日に入所できそうという日の夜、ベッドから落ちた母親を上げることができない娘さんが、思いあまって、というよりおそらくもう思考停止になっていただろう状況で、殺してしまったという事件。その時に、ベッドに上げてほしいと、救急車まで呼んだが、これは救急車の仕事ではないので、もう呼ばないでくださいと断られたらしい」と、報じられた事件の概要を記し、「この辺りのことは、私の母の時とも重なる。人が人を持ち上げるなんて、まさに老老介護状態ではできない」と、同じく高齢の母を介護してきた自身のケースと重ね合わせた。
自身もベッドに上がれない母を前に途方に暮れ、訪問診療のクリニックに電話するも「それはこちらの仕事ではない」と断られ、「結局、救急車に来てもらって、翌日面接に行く緩和ケアの病院のことを話し、そこに運んでもらった」ことがあるという。「それでも、救急車の人たちは、もしかしたらまたこちらに帰ってくるかもしれませんよと言う。彼らは命を救うことが仕事なので、そのまま亡くなるのを待つ緩和ケアとは違う、だから、向こうでもう処置できないと言われたら帰ってくるしかない、と言うのだった」と振り返り、「まったく歩けないこんな老人を、どうしようというのだと、その時も、そして病院での入院と同時の退院計画書を見せられた時も、背筋が凍る思いをした。これが今の医療体制なのだなあと、力が抜けた」と当時の思いをつづった。
そうした自身の経験から「国立市の母娘さんのことを思うと辛くてしかたがない。自分はひとりぼっちなんだと、痛めた腰で自分自身も起き上がれなくなっていただろう娘さんの絶望が重なる」とした。71歳の被告に懲役3年保護観察付き執行猶予5年の判決が下された裁判をめぐる報道を受け「『いなくなればいいと思っていただろう』という検察官の言葉に、血が逆流しそうになる。そりゃあ、そんなことだって思いますよ、介護するほうも人間ですから。でもそんなことを、懸命に乗り越えながら介護を続けてきたんですよ、娘さんは。やってみなさいよ、あなたも、一人介護ってやつを」と、当事者の現実を訴えた。



