尾野真千子(44)が22日、東京・テアトル新宿で行われた映画「たしかにあった幻」(2月6日公開)完成披露上映会に登壇した。
河瀨直美監督(56)が、カンヌ映画祭(フランス)で新人監督賞「カメラドール」を受賞した97年「萌(もえ)の朱雀(すざく)」で主演に抜てきされてデビューし、07年の同映画祭グランプリ受賞作「殯(もがり)の森」も主演したが、同作以来19年ぶりのタッグとなった。そのことについて、同監督から「大女優になっているから、スケジュールが合わない」と突っ込まれ、笑った。
「たしかにあった幻」は、小児臓器移植実施施設が物語の舞台。フランスからやってきたレシピエント移植コーディネーターのコリーが、脳死ドナーの家族や臓器提供を待つ少年少女とその家族と関わりながら、命の尊さと向き合う。同時に突然、失踪した恋人の迅の行方を追う姿を通して愛と喪失、希望を描く。コリーをルクセンブルクの俳優ビッキー・クリープス(42)迅を寛一郎(29)が演じた。尾野は、弁当屋を営み、移植を待つ子供や家族に弁当を届けつつも、最愛の息子を失い、一周忌を迎えても罪悪感にさいなまれる、めぐみをを演じた。元捜査一課の刑事で、弁当屋のめぐみを手伝う亮二を北村一輝(56)が演じた。
尾野は、河瀬監督の突っ込みに「そうなのよね。(21年に)結婚したり」と返した。その流れで「ある時『真千子、主演以外やるの?』って連絡がきて…やるって」と、オファー当時を振り返った。そして、河瀬監督が撮影前にロケ地で2週間、俳優陣に生活させるなど、役を生きるために必要なこととして行う演出“役積み”などを踏まえ「地獄の日々が始まるので、何を勉強すれば良いんだろう、どうすれば良いんだろうと考えても、まとまらず」と悩んだことも明かした。
その上で「普通は役作り、やるんだけど、通用しない。何、言われるか分からないけど、身1つで行けば正解だと思った」と、腹を決めて撮影現場に入ったと振り返った。横で聞いていた河瀬監督は、尾野の演技について聞かれると「100点超えでした。河瀬組の1番、強いところが出ます」と太鼓判を押した。
この日は、心臓移植を待つ少年のドナーとなる、脳死した少年の父親を演じた永瀬正敏(59)も登壇した。
同作は大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを務めた河瀬監督にとって、22年の東京五輪公式記録映画「東京2020 SIDE:A、B」以来4年ぶりの新作で、脚本も手がけた。オリジナル脚本による劇映画は、フランスのジュリエット・ビノシュが永瀬正敏とダブル主演した18年「Vision」以来8年ぶり。8月にスイスで開催された、ロカルノ映画祭のインターナショナル・コンペティション部門に選出された。
◆「たしかにあった幻」国際人材交流事業の一環で日本へやってきたフランス人女性コリー(ビッキー・クリープス)は、臓器の移植を必要とする人と関わるレシピエント移植コーディネーターとして、日本で数少ない小児心臓移植実施施設の病院でサポートスタッフとして働き始める。移植を待つ重症の小児を多く受け持つ病院では、限られた人員で必死に日々の業務をこなし、切実な状況にある患者やその家族と向き合っていた。コリーは厳しい環境の中でも、患者の家族をはじめ従事する医師や看護師、コーディネーター、保育士や院内学級の先生らと触れ合ううちに、移植医療をめぐる人々の輪の温かさを再認識していく。そんなある日、屋久島で出会い、心を支えてくれていた恋人の迅(寛一郎)が同居していた家から、何の前触れもなく消えてしまう。



