東京都世田谷区上祖師谷にある俳優宍戸錠(79)の自宅から、4日午後6時過ぎに出火したと119番通報があった。消防車26台が消火にあたり、約2時間後にほぼ火を消し止めたが、鉄骨コンクリート3階建ての自宅が全焼したほか、近所のアパートなど3棟にも延焼し約274平方メートルが燃えたとみられる。宍戸は自宅に1人で暮らしていたが、出火当時は外出しており、無事だった。東京消防庁によると、けが人はいなかった。

 世田谷の夜空に真っ赤な炎と黒煙が立ち上り、消防車のサイレンが鳴り響いた。京王線仙川駅から約1キロの住宅地に建つ宍戸の自宅付近の住民によると、火は2階から出火したもようで、窓から飛び出すほどの激しい勢いで燃えた。出火から5分もたたないうちに、自宅全体を炎の海が包み、周辺の住宅など3棟にも燃え広がったという。出火から約2時間ほどで火は消し止められたが、上空にはヘリコプターが飛び交い、付近は騒然となった。

 全焼した宍戸の自宅は、早大名誉教授の建築家・鈴木恂氏が設計、1966年(昭41)に完成。コンクリート打ちっ放しの斬新な設計で、同氏の初期の傑作と建築界からも評価が高いモダンな家だった。

 宍戸はこの日夜、都内で、昨年11月に亡くなった元日活録音技師の橋本文雄さん(享年84)をしのぶ会に出席していた。渡哲也(71)吉永小百合(67)松原智恵子(68)ら、かつて日活でともに活躍した仲間や後輩たちと旧交を温め、楽しく酒を酌み交わしていたというが、その間に自宅が全焼してしまった。宍戸は自宅の全焼を知り、現場に駆けつけて驚いていたという。宍戸の事務所関係者は、日刊スポーツの取材に「会の最中に全焼したので、詳しい情報を把握できていません。警察の現場検証を踏まえた上で、今後のことを考えたい」と話した。

 宍戸は昨年12月25日に京王線飛田給駅で行われた、スポーツ祭東京2013開催記念手形モニュメント除幕式に出席し、元気な姿を見せていた。同11月30日には自伝的小説「シシド

 小説・日活撮影所

 完結編」を出版するなど、文筆業でも健筆を振るっていた。

 ◆宍戸錠(ししど・じょう)1933年(昭8)12月6日、大阪府生まれ。54年、日活が募集した第1期ニューフェイスに合格し日大芸術学部を中退、55年「警察日記」でデビュー。「渡り鳥シリーズ」「拳銃無頼帖シリーズ」「流れ者シリーズ」などで、小林旭、赤木圭一郎の敵役を演じ人気者に。愛称は「エースのジョー」。映画やドラマ、CM、バラエティー番組などで活動。01年、45年間両ほおに注入されていた液状物質の摘出手術を受けた。血液型B。長男は俳優宍戸開。