レモンポップの坂井騎手は、最後の200メートルに脚を残す乗り方をした。スタートが速くいったん先頭に立ったが、すぐに外のショウナンナデシコ、ヘリオスを行かせて、3番手ケイアイターコイズの後ろで流れに乗る。2ハロン目のラップは10秒9。ダートにしては速い。千四がベストの馬だけに、ここで無理しなかったのが良かった。

フェブラリーSを制したレモンポップと坂井騎手(撮影・丹羽敏通)
フェブラリーSを制したレモンポップと坂井騎手(撮影・丹羽敏通)

馬群が密集した3コーナー手前のポジション取りも勝因のひとつ。内からジャスパープリンス、ドライスタウトが出てきて、外からはテイエムサウスダン、セキフウが馬体を寄せる。少し接触するようなシーンも見られたが、一歩も引かずに位置をキープした。もし下げていたら、中団で厳しい競馬を強いられていただろう。

4コーナーではケイアイターコイズの外で進路を確保すると、残り300メートルまで仕掛けを待った。前に敵はいない。後ろの有力馬の動きを感じながらゆっくりゴーサイン。前半の位置取り、追い出しのタイミングをずらすことで、しっかり脚を残すことができた。外から最速の上がりで迫ってきたレッドルゼルを余裕で抑えてのG1制覇。

レモンポップは強かったが、テン乗りでも慌てず馬の能力を引き出した坂井騎手の好騎乗も見逃せない。