リカンカブールは位置取りの勝利だ。スタートはさほど良くなかったが、津村騎手は促しながらポジションを取りにいった。内アラタ、外マイネルファンロンの間を擦り抜けるように前へ出ると、内ラチ沿いの2番手で流れに乗る。この積極策が競馬をスムーズに進められた大きな要因だ。

1コーナーでは馬群がごちゃつき、アラタなどは大きな不利を受けている。もし、ゲートを出たなりで控えていたら、馬混みでリズムを崩しただろう。「時計が速くて前が止まらない馬場」。鞍上のこの読みもぴたりとはまった。ポジションが決まると3コーナー過ぎまで何のアクションも起こさない。馬に負担をかけず脚をためたことが、しまいの瞬発力につながった。

仕掛けのタイミングも絶妙だ。4コーナー手前で徐々に外へ開き、直線入口では外エピファニーに馬体を寄せて進路を確保。道中のロスを最小限に抑えたことで、最後までしっかり伸びた。ここ2戦はスタートが決まらず後方から追い込む競馬をしているが、やはり好位差しがベストだ。

明け5歳馬だがキャリアは10戦と浅く、まだ伸びしろはある。今回のように「先行からのひと脚」が定着すれば、さらに上のステージで活躍できる。

リカンカブールで中山金杯を制してガッツポーズを決める津村騎手(撮影・丹羽敏通)
リカンカブールで中山金杯を制してガッツポーズを決める津村騎手(撮影・丹羽敏通)