桜花賞は「最優秀2歳牝馬」リバティアイランドの1強ムードだが、水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は阪神JF2着シンリョクカ(竹内)に注目した。デビュー2戦目のG1で連対したポテンシャルの高さに加え、どんな流れでも力を出せる「二刀流」。その対応力の高さを検証した。

阪神JFで2着に入ったシンリョクカ(右)。左は勝ったリバティアイランド
阪神JFで2着に入ったシンリョクカ(右)。左は勝ったリバティアイランド

シンリョクカの魅力は2つの異なる競馬で結果を出したことだ。新馬は前半3ハロン36秒7(12秒4-11秒7-12秒6)のスローペース。流れが落ち着いたところで少し行きたがる面を見せたが、吉田豊騎手がなだめるとすぐに5番手で折り合いはついた。

前半が遅かった分、上がり3ハロンは33秒7の瞬発力勝負。逃げた馬が2着に粘り3番手の馬が3着に流れ込んだ先行有利の競馬を、4角5番手から差し切って3馬身半差は強い。ラスト2ハロンを11秒0-11秒1で突き抜けた決め手は一級品だ。最後までいっぱいに追っていたら10秒台が出ていただろう。

一方、阪神JFは新馬とは正反対の前傾ラップ。逃げたサンティーテソーロが33秒7(12秒1-10秒5-11秒1)で飛ばす中、仕掛けてポジションを取りに行った。シンリョクカにすれば新馬より3秒も速いペース。かなり体力を消耗したに違いないが、それでも直線は狭いスペースを割って2着を確保した。

この「緩」「急」どちらにも対応できるセンスの良さが強みだ。特に阪神JFは上がりが36秒1もかかっている。細身で切れる印象があったが、タフな流れの力勝負で伸びてきたのは驚きだ。高速ラップを刻みながら、しっかり脚がたまっていた証拠。でなければ3着ドゥアイズの追い上げを退けることはできない。

リバティアイランドには敗れたが、キャリアが1戦少ない分こちらの方が伸びしろは大きい。ペースに左右されない「二刀流」。逆転の可能性に懸けてみる手はある。

◆柔軟な操縦性

【ここが鍵】

阪神競馬場が改修されてから、以前のような「魔の桜花賞ペース」は存在しなくなったが、逆に流れは読みづらい。過去5年の前半3ハロンのラップタイムを見ても、18年34秒5、19年35秒4、20年34秒9、21年34秒1、22年34秒6と1秒3もばらつきがあり、状況によってはハイペースにもスローペースにもなり得る。圧倒的なスピードがある馬や、アーモンドアイのような究極の末脚を持つ馬はともかく、どんな流れにも対応できる「操縦性」が求められる。

◆シングザットソング「しぶとい脚」

シングザットソングもフィリーズレビューで新たな一面を見せた。それまでは出遅れて後方から直線一気の競馬をしていたが、前走はスタートが決まって好位を進み、早めに動いてロングスパート。最後まで逆転を許さない「しぶとい脚」を証明した。ためれば切れるし、先行しても粘り強い。まだゲート不安を完全に払拭したわけではないが、戦法の幅が広がったのは本番へ向けて収穫だ。

◆ドゥーラ、鍵握る発馬

チューリップ賞のドゥーラは、まったく競馬にならなかった。直線で密集した馬群を突いたが隣の馬と接触して戦意喪失。結果的にはちょっと強引すぎたかもしれない。阪神JFも外枠で出遅れと2戦続けての不完全燃焼。未勝利勝ちや札幌2歳Sでは好位で競馬をしており、スタートさえ決まれば違ったレースができる。のちのG1馬ドゥラエレーデに先着した実績があり、能力的にも巻き返しは可能だ。

◆モズメイメイ、二枚腰発揮

チューリップ賞で鮮やかな逃げ切りを決めたモズメイメイは、一介の逃げ馬ではない。新馬勝ちは上がり33秒1で最内を伸びて差し切り、前走も武豊騎手がうまくスローペースに落としたとはいえ、上がり34秒1で粘り込んだ。いいスピードがある一方でコントロールも利く。今年はメンバー的に強力な同型馬が見当たらない。うまくペースを落とせるようなら、自慢の二枚腰で粘り込みがある。