ソフトバンクが勝負の後半戦を迎える。リーグ優勝奪回に向け、ここまでは順調だがこのまますんなり優勝へ進めるのか。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(49)は決して楽な戦いにはならないと説く。

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浜名氏 大きいのはグラシアルがいなくなること。そして未知数な部分が多い先発陣に対する不安。ここがポイントになる。

キューバ代表合流のためグラシアルが一時帰国。その穴をどう埋めるのか。

浜名氏 おそらくグラシアルが故障で抜けていた期間の状態に戻るだろう。釜元、牧原ら若手でなんとかレフトの穴を埋めることになるだろう。ここにきて2軍から突然、新戦力も表れない。となると、誰を使うか。攻撃力を落とさないように首脳陣が打撃の調子を見極めながら起用していかないといけない。

先発投手陣に目を向けると、実績でいえば千賀がしか計算できない。

浜名氏 大竹も高橋礼も1年通して活躍したことがなく、実質今年が初めての経験。ここまではいいが、相手も研究してくるだろうし、先発に不安がある。ただでさえ苦労している中継ぎ陣にさらなる負担が増えれば、チーム成績を支えた投手力全体の低下に影響を及ぼしかねない。

故障者がここまでいながら首位独走態勢を築いていることに、浜名氏は独自の視点で分析する。

浜名氏 内野も外野もできる選手が多いのは他球団にはない。本来はスペシャリストとして1つのポジションに専念するのがレギュラー取りのセオリーだが、ホークスはレギュラーの壁が高く、若手にはそれができない。だから試合に出るには複数、それも幅広いポジションをこなす必要があった。今年は故障者を埋める意味で、いい方向に出た。投手も野手も、いろんなポジションをこなす選手がいる。後半も首脳陣がその選手のコンディションを見極められるかの勝負になる。【取材・構成=浦田由紀夫】