新入幕の東前頭17枚目の尊富士(たけるふじ、24=伊勢ケ浜)が、東前頭12枚目の湘南乃海を寄り切って初日から7連勝を飾り、単独首位に立った。初日から7連勝で単独首位に立った新入幕力士は91年九州場所の貴ノ浪以来の快挙となった。尊敬する兄弟子の横綱照ノ富士がこの日から休場。まだ大銀杏(おおいちょう)が結えずちょんまげ姿の新鋭は、横綱への恩返しのためにも、快進撃を続けて110年ぶりの新入幕優勝を目指す。
◇ ◇ ◇
相撲界に現れた新たな息吹が、荒れる春場所で旋風を巻き起こしている。まだ大銀杏が結えず、ちょんまげ姿の新入幕の尊富士は、身長では10センチ高く、体重は44キロ重い湘南乃海を圧倒。素早い立ち合いから左を差し、すかさず右もねじ込み、一気の攻めで完勝した。「しっかり自分の相撲を取り切れた」。トップを並走した大の里が敗れ、幕内では唯一初日から負けなしとなった。
初日から7連勝で単独首位に立った新入幕力士は91年九州場所の貴ノ浪以来の快挙だが、本人に意識はない。連勝街道にも「自分のやることはやれているので、日々の勝ちにつながっている」と無心を強調した。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と同じ相撲どころの津軽力士で、アマチュア時代から実績は十分。鳥取城北高時代にはインターハイ団体戦で優勝、日大では全日本大学選抜金沢大会で個人戦2位に輝き、厳しい稽古で知られる伊勢ケ浜部屋の門をたたいた。入門の決め手になったのは横綱照ノ富士。両膝の負傷から序二段まで陥落して横綱昇進を果たした姿に感化され、「横綱の生き方が響いた。教えて欲しいことが山ほどある」と感じた。
憧れの横綱から教えを乞い、年6場所制の1958年(昭33)以降最速タイの初土俵から所要9場所で幕内に上がった今場所。尊敬する照ノ富士はこの日から休場したが、やることは変わらない。「土俵に上がれば自分を鬼にしている。見てくれていると思うので頑張る」。目指すは1914年(大3)夏場所の両国以来となる110年ぶりの新入幕優勝。それが横綱への恩返しとなる。【平山連】

