日々取材をしている中で、記事を書く際に「使いやすい」コメントや、「見出しになる」フレーズを話してくれるタレントは、非常に心強い。もちろん、記者としてはそれを引き出すことが役割なのだが、時にはこちらの力不足でうまく取材がかみ合わない場合もあるし、記事の内容が定まらないこともある。

 記者としては少々現金なのかもしれないが、こちらの書きたい記事の意図をくんでくれた上で、ピンポイントでインパクトのあるコメントをするタレントには、やはり助けられるし、感謝することも多い。中でも、最近感じたのはKAT-TUN亀梨和也(32)のコメント力の高さだ。

 2月23日にさいたま市内でフォトブック「ユメより、亀。」の発売記念イベントを行った際には、当時世間の話題をさらっていた平昌(ピョンチャン)冬季五輪スピードスケート女子団体追い抜き(パシュート)について聞かれた。

 3人の選手が先頭を入れ替えながら滑るパシュートにちなみ、「(3人組の)KAT-TUNもそういうグループになっていきたい。1人1人が支えてもらいながら、先頭でもしっかり引っ張っていける存在になっていかなければならないと思う。金メダル目指したいです」と笑った。記者としては「いただきました」という心境だった。

 3月22日には、横浜・大さん橋ホールでKAT-TUN初の野外イベントを開催。海に囲まれた会場と、元日から活動を再開したKAT-TUNの境遇にちなんで、「KAT-TUNにとっては大きな船出になります。だから(海に囲まれた)この会場にしたんですよ」とコメント。さらに、「ボォー」と港の船の汽笛が鳴ると、「船もお祝いしてくれてるよ!」と笑わせた。

 同25日には、8年連続となる日本テレビ系プロ野球中継のスペシャルサポーターに就任し、東京ドーム内で記者の取材に応じた。野球経験者らしく、「ファンの方の疑問を選手たちにぶつけて、橋渡し的な存在になれれば。最高の『中継プレー』がしたいです」とコメント。野球のプレーにちなんだだけでなく、亀梨の役割や立ち位置も一言で説明できる意気込みだった。

 亀梨と親しい関係者は、「あの人は本当にコメントがうまい。取材慣れしているというのもあるけど、1つ1つ真剣に記者さんと向き合って答えているから、『自分がこう言えばうまく記事にしてくれるかな』というのも分かっている。『打てば響く』タイプだから、どんどん質問していただければ」と話す。関係者の間でも、非常に「頼りになる」存在なのだという。

 当然記者としては、取材対象の力に頼るのではなく、どんな状況でもいいコメントを引き出せるように努力しなければならないのだが、亀梨のようなタレントに助けられるのも事実だ。同時に「次の取材では何を質問しよう」と思うし、単純に楽しみにもなる。総じて、1つのタレントの魅力につながっているのだと思う。