【ドーハ2日=佐藤成】性加害疑惑報道により、アジア杯カタール大会の日本代表から前日1日付で離脱すると発表されながら、一転保留となっていたMF伊東純也(30=スタッド・ランス)の離脱が正式に決まった。当地で本人やチームに決定が伝えられ、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(66)も都内で表明した。選手たちの要望を受けて決定を覆し、再協議の末に離脱というドタバタ劇。後手後手の協会対応が、準々決勝イラン戦を翌日に控えた森保一監督(55)や現場を矢面に立たせる失態となった。女性2人から受けている刑事告訴の内容が、準強制性交などの疑いだったことも判明した。
◇ ◇ ◇
結局、離脱だった。当地の夜に伊東の一転残留が伝えられ、日が昇った後、チームから離れると発表された。協会の迷走を象徴するように、日本では田嶋会長が謝罪していた。緊急会見の冒頭「大変お騒がせしてしまったことをおわび申しあげます」。続けて「集中できる環境を作るため、JFAとして総合的に判断した。離脱の案内をした後に再検討するなど、二転三転したことをおわび申し上げます」と再び頭を下げた。
もはや「三転四転」だった。性加害疑惑が報じられた先月31日バーレーン戦は情報がなく、翌1日午前11時から始まった練習に、伊東が姿を見せず。宿舎調整で、協会から「現時点では帰りません」と説明があった。ところが、練習終了1時間10分後に1日付の離脱を決め「心身のコンディションを考慮した結果」とした。矛盾の始まりだった。
事態は急転する。7時間後、離脱が保留になった旨が報道陣に伝えられた。さらに2時間半後、午後10時から急きょ山本昌邦団長が宿舎で混乱を釈明する。決断が覆った理由を「伊東選手とともに戦いたいとの意見が多く出た。会長に相談し、残す方向で改めて調整することになった」とした。そこで「選手から話があったことは事実。大きな要因の1つ」。翻意のきっかけを額面通りに伝え、間接的に、選手に押しつけた。
伊東を巡っては、昨年6月の親善試合ペルー戦後、大阪市内のホテルで女性の同意を得ず性行為に及んだとして刑事告訴されたと、デイリー新潮に報じられていた。大阪府警も、女性2人からの刑事告訴を受理したと認めた。関係者によると、その内容は準強制性交などの容疑と判明。翌日は伊東側が、性加害はなかったとして虚偽告訴容疑の告訴状を同府警に提出した。
この状況を受け、協会は1日未明までに田嶋会長や山本団長、宮本次期会長を含めた協会幹部、専門家を交えて議論。離脱を決定した。にもかかわらず、選手の感情論に動かされて再議論する状況に陥っていた。
結論、離脱。指導者やイレブンは仲間をかばおうとする。堂安は「何も言わなければ後悔する」と陳情に至った経緯を明かしたが、同等に女性側の主張もある中、管轄するJFAは身内の思いに振り回された組織だと露呈した。そこに、選手を矢面に立たせる悪手まで。案の定、イラン戦の前日会見で森保監督に、練習を終えた選手に、関連質問が殺到した。遠藤主将ら選手は意向説明を余儀なくされた。協会の意思決定が疑問視される失態が、大一番の前日に繰り広げられた。

