4年ぶり3度目の優勝を目指す日本の羽生結弦(26=ANA)が、今季の自己ベストとなる107・12点で2位発進した。首位はネーサン・チェン(21=米国)の109・65点だった。

誰かの光になれるように―。たとえ1秒に満たなくても―。その思いでロックナンバー「レット・ミー・エンターテイン・ユー」に乗ると、冒頭の4回転サルコーを華麗に成功。驚異の出来栄え点(GOE)4・46を稼ぎ、4回転トーループ―両手上げ3回転トーループも完璧。同4・18の加点を引き出した。

最後は、カウンターからのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)。練習ではほぼ決まっていたが、勢いがつきすぎた。下がった頭が氷につきそうなほど回転した中、意地でこらえて着氷してみせた。

演技を終えると、ふうっと息を吐き、右目の前で横ピース。2918人が1席空けて座った会場から万雷の拍手を浴びた。得点を待つ間は、幼少期の写真が収められた、うちわを手にした。チームジャパンの仲間とともに今季ベストの表示を受け止めた。

前滑走の宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が、まさかの11人中9位。70点台に終わるアナウンスが嫌でも聞こえてきた。「あまり聞く気はなかったんですけど、宇野選手の点数があまり良くなかったというのが聞こえてきて。緊張しました。でも、彼はミスっちゃいましたけど、彼の力、魂、そういうものを受け取りながら頑張れた」と、SPノーミスだった世界選手権(3月)の106・98点を超えるスコアで巻き返した。

演技後、報道陣のオンライン取材を受けている最中にチェンの首位が確定したが「自分がやれることはやったので。あんまり順位とか気にしていない。自分のこととして、前半のサルコーとトーループ(連続)ジャンプを、このプログラムで初めて試合でキレイに決めることができた。成長しているなって思えます」と手応えもつかんでいる。

16日夜のフリーへ「世界選手権(3月、3位)の悔しさは少なからずある。リベンジしたい思いも少なからずある。それを認めて、成長したなと感じられるような演技ができるように。集中したいと思います」と神経をさらに研ぎ澄ませ、今季最後の公式戦で「天と地と」を舞う。【木下淳】

◆世界国別対抗戦 7度目の開催となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。日本の他にロシア、米国、フランス、イタリア、カナダが参加。SP、フリー(アイスダンスはリズムダンス、フリーダンス)ごとに区切り、総合得点での順位は得点としない。各出場者(組)の総合得点はISU公認記録となる。

フィギュア国別対抗戦・写真特集はこちら―>