そのタイムは全体でも2番目だった。メダル獲得も期待させる走り。19歳の三浦龍司(順大)が日本新記録となる8分9秒92の1組2着で、日本勢では72年ミュンヘン大会の小山隆治以来の決勝(2日夜)へ進んだ。

ラスト1周でメダル有力候補のエチオピアとケニアの選手とデッドヒートを繰り広げる快走。ペースアップにも付いていき、むしろ自ら仕掛ける場面もあった。レース後はアフリカ勢の選手が倒れ込む中、まだ余力がありそうな涼しい顔。8分9秒92ののタイムは16年リオデジャネイロ五輪の5位相当の好記録。6月の月の日本選手権で最終盤に水濠(すいごう)で転倒しながら出した日本新を6秒以上も縮めた。

三浦は「(8分)1ケタ台はまだ先のことだと思っていた。あまり考えず、おじけずくことなくいけたのが(好記録の)要因。タイムもよかった。目標の決勝にも進むことができた。充実していた」と振り返った。

同じ順大2年生で19歳。同級生の橋本大輝が体操男子個人総合で金メダルを獲得した。三浦は「興奮しながら見ていました。同年代の金メダルはすごいインパクトがあった。自分の中で刺激になり、励みになった」。橋本と同じように、五輪の雰囲気にのまれることないのが、大物の証しだ。「選手村ではオリンピックってこういう感じなんだなと思いながら、生活しています。選手村の庭で各国の遊びをしていたりしているのを見たり、日本にいながら海外にいる感じ」。独特な五輪の空気感を、力に変えられる。朝のレースへ向けては「自分は日頃、遅寝なので、合わせるの大変だったのですけど」と苦笑い。ただ、2日前から夜は10時に寝るように、朝は4時半に起床。力を出し切れるようにしてきた。

昨年の箱根駅伝予選会では初挑戦のハーフマラソンで、1時間1分41秒でタイムはU20日本最高記録をマークした逸材。決勝へ向けては「ゾーンに入れる。集中できる」と頼もしい。まだまだタイムを上げられそうな口ぶりだった。

◆3000メートル障害 3000メートルを走る間に障害物(高さは男子91・4センチ、女子76・2センチ)を28回、池のような水濠を7回越えていく。各周に5回の障害物があり、その4番目が水濠であることがルール。水濠以外の4つの障害物は移動式。手をかけて越えてもいいが、外側を通ったり、下をくぐったりするのは禁止。五輪の日本勢最高は72年ミュンヘン五輪の小山隆治で9位。