20歳の広中璃梨佳(日本郵政グループ)が自己ベストの31分0秒71で7位に入った。日本勢の同種目入賞は、96年アトランタ五輪5位の千葉真子、同7位の川上優子以来3人目。「2種目戦えたことは自信になった。世界と戦い、挑戦していきたいと思いました」。5000メートル決勝でも14分52秒84の日本記録を樹立し9位となったホープは、充実感を漂わせた。

スタートから果敢に先頭に立って集団を引っ張った。3000メートル付近で吸収され、きつくなったが、4500メートル付近でトレードマークの帽子を脱ぎ捨て「ここからだ」とギアチェンジ。粘りの走りで食らいついた。がむしゃらに前を追い、順位を知ったのはゴール後。電光掲示板を見上げて初めて「7位だ」と分かった。

長い手足を持ち、力強い腕振りで、推進力を生む。長崎・桜が原中3年の時以降、出場したすべての駅伝で区間賞という超逸材だ。1学年上で女子1500メートルで8位入賞した田中希実の走りを見て「すごく刺激になりました」。若い才能が高い次元で切磋琢磨(せっさたくま)している。長く世界の壁が厚く、なかなか世界の舞台で強豪と渡り合うことができなかった女子中長距離界。たくましい広中、そして田中の存在もあり、堂々と戦うことのできる新時代が到来しそうな気配がある。それを広中が強く印象づけた。

【上田悠太】