服部勇馬(27=トヨタ自動車)は執念で最後まで走りきった。2時間30分8秒の73位。

最後は左太ももを押さえ、引きずるように走りきった。フィニッシュラインを越えると手と膝をつき、倒れ込んだ。体に力が入れず、車イスで運ばれた。

20キロ地点までは先頭集団で粘ったが、その後にズルズルと後退。足取りは一気に重たくなった。

35キロ通過時は1時間56分28秒。懸命に対策を施してきたが、もともと暑さは苦手。厳しい戦いとなったが、支えてくれた人の思いも胸に、約30人が棄権したサバイバルレースを完走した。

服部は19年マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で2位に入って五輪切符を獲得。この2年間、日本代表としての期待と重圧を背負いながら過ごしてきた。「ものすごく長かった」と振り返る。1年延期もあって迎えた五輪。「ようやくこの札幌の舞台で発揮できる。これまでやってきたことをしっかり発揮できるようにやっていきたい。自分自身の競技力、人間性を磨いていきたい」と誓っていた。

仙台育英高から東洋大。3、4年時に箱根駅伝でエース区間2区で区間賞に輝いた。4年時には主将も務めた。弟2人、妹1人の4人きょうだいの長男の初挑戦が終わった。