東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は30日、五輪ボート競技の審判員2人が新型コロナウイルスに感染し、隔離されていた宿泊施設から無断で外出していた、と一部で報じられた件について「療養施設に入所中の者が突然、陰圧車(患者搬送の専用車両)をホテルに呼び、検査を受けるためにクリニックにいったことは事実です」と認めた。

陽性判定に不満を持っていたとされ、自前で検査を受けようとしたというが、組織委は「施設を抜け出したという行為ではありません」と違反とは認めないコメントを出した。

プレーブック(大会中の新型コロナ対策ルール集)によると、陽性となった大会関係者は組織委が確保した宿泊療養施設で隔離か入院することになっている。そこから無断外出したことはプレーブック違反だが、組織委は「入所者と施設管理者側との間で、より丁寧なコミュニケーションは必要だったと考えているところです」と、違反に当たるかどうか明確に答えず。「陽性は確定しており、その判定に不満をもつ者が再度検査を受けて、陽性確定の判断を覆すことは想定されておりません」とした。

一方で「大会関係者の行為により、施設管理者と保健所に迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と謝罪し「本人には厳しく注意をしており、今は深く反省していると聞いています」と説明はしたが、隔離先から感染者の無断外出を防げなかったことは事実だ。【木下淳】