大橋悠依(25=イトマン東進)が、女子400メートル個人メドレー決勝で4分32秒08の好タイムを出し、金メダルを獲得した。中学、高校生から記録を伸ばしていく選手が多い中で、大橋は大学4年で頭角を現した遅咲きだった。

2014年、「水をとらえる素質がある」と日本代表ヘッドコーチの平井伯昌氏に見いだされ東洋大に入学。強さの秘密はキック。通常は脚の表側を使うダウンキックが主流だが、背面を使って蹴り上げるアップキックで泳ぐ。金メダル23個のフェルプスも得意にした武器に、筋トレで強化した上半身のパワーが加わり、飛躍的な記録短縮につなげた。しかし、入学して1年後、大きな挫折が待っていた。

「水泳なんかやめる」。大学2年だった15年、水泳部の同期だった岡田マネジャーに言い放った。原因不明の体調不良で大学1年の終わりから2年秋まで、思うように泳げなかった。結果も出ず、水泳が嫌いになった。自暴自棄になりかけたが、精密検査で極度の貧血が判明。薬と、アサリなどの鉄分を増やす食事改善で体調は回復。練習が積めるようになると、水泳がまた楽しくなった。

大学3年だった16年4月のリオデジャネイロ五輪出場権を懸けた日本選手権は3位と2位までの出場権は逃したが、初の表彰台で自信を得た。そして大学4年の17年日本選手権で初優勝。女子のエースに成長していた。