さあゴールデンスラムつぶしだ! 世界69位の錦織圭(31=日清食品)が29日、準々決勝で世界王者ジョコビッチ(セルビア)に挑む。錦織は3回戦で同66位のイワシュカ(ベラルーシ)に7-6、6-0のストレート勝ち。3大会連続での8強入りとなった。ジョコビッチは、男子史上初めて年間で4大大会と五輪を全制覇するゴールデンスラムに挑んでいる。

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日本テニス界にとって、東京五輪最大のヤマ場がやってきた。16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの錦織と世界王者の一戦は、ジョコビッチのゴールデンスラムと、錦織の2大会連続メダルの行く末もかかる大一番だ。猛暑で体力を消耗している中、過酷なバトルは必至だ。

単複出場の錦織に、単と混合を掛け持ちするジョコビッチ。同じ2種目出場でも、昼間の猛暑の中で戦った錦織と、夕方から試合が多いジョコビッチでは体力の消耗度が違う。ただ「このコンディションは分かっていたし、(単複)両方、精いっぱい頑張ると決めて出た」ので後悔はない。

3回戦は気温33度、湿度80%でコート上は約60度ほどになったという。風もあり、難しい条件の中、相手は強打の持ち主。たたき込まれるショットを錦織は必死に拾い続けた。「本当に紙一重の試合だった」。1セット目は先行されながらも最後は逆転し、相手が力尽きた。

マクラクランと組んだダブルスは、シングルスの後の準々決勝で第1シードに敗れた。1日2勝はならなかったが、もう足が動かなかった。「力を発揮できなかったのは、申し訳なかった。確実に今日(のダブルスの敗戦)は自分のせい」と悔しがった。

ジョコビッチと戦った最後の試合は、19年の全豪準々決勝だった。「今週、いいプレーはできている。それが唯一の自信。その感覚で、思い切りやりたい」。1回戦で20年9月に右ひじのけがから復帰後、初めてトップ10に勝った。五輪と自国の力を借りて、打倒ジョコビッチに挑む。【吉松忠弘】

◆錦織対ジョコビッチ 対戦成績は錦織から2勝16敗。錦織が勝ったのは、11年スイス室内の準決勝と14年全米の準決勝。直近の対戦は、19年全豪準々決勝で、錦織が2セット目の途中で棄権した。錦織は4回戦で5時間5分の自身最長試合を戦い、体力が残っていなかった。ナダル、フェデラー、マリーを加えたビッグ4の中で、錦織にとって最も対戦が多い相手だ。