ドイツ・ブンデスリーガのビーレフェルトMF奥川雅也(25)が、抜群の決定力を見せている。今季は16試合に出場し、チーム最多の5得点。シュートは計15本だけだが、そのうち枠内シュートが10本を数える。5得点は今季の欧州5大リーグでは日本選手最多と、飛躍の予感を漂わせる。

チームは降格圏の17位に低迷し、ボール保持率もリーグ最低の41%と守備に追われる時間は長い。そんな中でも奥川は限られた好機を確実に仕留め、シュート決定率(得点÷シュート)は33%。この確率だけなら、19ゴールで得点ランク首位を独走するバイエルン・ミュンヘンのFWレバンドフスキの25%を上回る。

年内最後の試合となった18日のライプチヒ戦では1-0の後半30分に、相手ゴール前のスペースにうまく入り込み、味方のパスを左足で冷静に蹴り込んだ。直前に味方が退場した中での貴重な追加点。チームは2-0で勝ち、今季初の連勝を飾った。「試合開始からライプチヒに危ない場面をつくられていたけど、それに耐えて反撃することができた」と喜んだ。

今季のチームは開幕から10戦未勝利と苦しんだものの、11月6日のシュツットガルト戦で奥川が今季2点目を決めてリーグ戦初勝利を挙げると、以降は巻き返し、3勝2分け2敗と白星先行。その7試合で奥川は4得点1アシストを記録するなどチームの攻撃をけん引している。

欧州で7シーズン目を迎えた25歳。国際Aマッチの出場経験はないが、世界トップレベルのリーグで目に見える結果を残している。日本代表にはザルツブルク時代の20年11月に初選出されながら、新型コロナウイルスの影響で合宿にも参加できなかった。以降は森保ジャパンへの招集はないが、今年9月には森保一監督が直接視察に訪れている。

高いシュート技術を示すアタッカーは、10月のクラブ公式サイトのインタビューで「次のステップとして日本代表に入れればという希望はある。そのためにとにかくいいプレーを続けていくだけ」と話していた。前半戦だけでドイツ1部リーグ13位タイの5得点は堂々たる成績。同リーグの日本選手では高原直泰、香川真司、岡崎慎司に次いで史上4人目となるシーズン2桁得点も狙える勢いだ。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)